過干渉な親とは何でしょうか?
子どものやることや、子どもの意見に口出しをしたり、ダメ出しをする親がいます。
子離れ・親離れができず、娘や息子の人生に深入りする親がいます。
こうした行為がひどい場合、それは子どもへの過干渉といえます。
過干渉な親はどうして、子どもの行動や発言に、いちいち意見をするのでしょうか?
それは「子どもがいくつになっても、親として子どもの人生に介入したい」からなのです。
子どもの自己決定権を無視して、自分の考えを子どもに押し付ける・・・これが過干渉な親の姿です。
まるで、子どもは親の延長線上にあるかのようです。
過干渉とは、親の期待と要求を優先して、子どもの意思を尊重しない行為です。
では今から「過干渉」の特徴を解説していきます。
過干渉な親チェックリスト
「自分の親は過干渉な親のか?」について、お知りになりたい方のために、チェックリストを作りました。一度、確認してみてください。
過干渉な親チェックリスト
- 子どもに与え過ぎる
- 子どもの問題を親が解決してしまう
- 大人になっても子どもにお金を渡す
- 子どもの人生に深く入り込む
- 子どもの限界を認められない
- 子どもの独り立ちを許さない
- 親が望む最高の子どもになって欲しいと願う
- 子どもと他の子を比較して子どもを躾する
- 完璧な親になって過保護になる
- 親の助けがないと子どもは失敗すると考えている
- まわりくどいコミュニケーションをする
いかがでしょうか?
それぞれの項目について、次の章から詳しく解説していきましょう。
過干渉の特徴とは?
子どもに与え過ぎる
子どもに与え過ぎるのは、過干渉と言えるでしょう。
先回りして親がなんでも子どものために用意すると、どうなるでしょうか。
つまり子どもが「欲しいものを手にいれるために、何をすればいいのか?」と模索する前に、親が先回りして買い与えるとどうなるでしょう。
子どもは自分の欲求やニーズを満たすために、計画を立てて行動をして結果を出すというプロセスを経験できません。
あるいは「私は、こうなりたい」「私はこれをやりたい」と自分の気持ちを周囲に伝えるスキルを学べません。
つまり、親が子どもに与え過ぎることで、「計画性」「遂行能力」「試行錯誤」の大切さを教えられないのです。
「与え過ぎる」のは、子どもに不憫な想いをさせたくないからであっても、その想いの裏には「子どもの問題は親が解決すべきだ」という考えがあるのです。
子どもの問題を親が解決してしまう
子どもの問題を、親が子どもに代わって解決しようとするのです。
子どもが問題に躓く前に、親は先回りして、問題を解決したがるのです。
これは子どもが失敗をするリスクを避けたくて、親が子どもの問題解決を肩代わりするのです。
そこには「失敗はいけないことだ」という親の強い考えがあります。
失敗をすることで、子どもは「次は上手くやろう」と試行錯誤の大切さを身に着けるのです。
しかし、そうした学びを親は取り上げてしまうのです。
たとえば夏休みの図画工作の宿題を、親が全部やってしまうのは、子どもがやるべき課題を親が肩代わりしているわけです。
大人になっても子どもにお金を渡す
成人をした娘や息子にお金を渡す親がいます。
お金がない不憫さを子に感じさせたくないので、親は大人になっても子どもにお金を与え続けるのです。
親が子どもにお金を出し続けるのは、親はいつまでも子育てをしたがっていると言えます。
親は子離れ・親離れをしなければいけません。いつまでも「親業」=子育てを卒業しなければいけません。
しかし、子どもをそばに置きたいのです。それは、あまりにも子を愛し過ぎていると言えます。
子どもの人生に深く入り込む
「良い学校、良い会社に就職しないと後悔するわよ」
「あんな人と付き合ってはいけない」
「早く結婚して私を安心させてね」
「早く孫の顔が見たいわ」
「まだ子どもができないの?
一人っ子はきょうだいがいないので寂しいわよ」
「私もいい歳なんだから、実家のそばに住んで私の面倒をみてね」
・・・こんなふうに子どもに言う親がいます。
これは子どもの自己決定権を奪っています。
親は子どもの人生に深い入りし「子どもを自分の延長」と見ているのです。
つまり娘や息子の人生の決定権を親の管理下に置きたいのです。
これは、親と子の境界線がないと言えるでしょう。
あまりにも親と子が一体化しているのです。
子どもの限界を認められない
「どうして、こんなことも出来ないの」
「どうして、みんなが出来ることを、あなたはできないの」
と子どもに言ってしまうならば、それは子どもの限界が認められないからです。
子どもには個性があります。得手不得手は当然あります。
それなのに子どもの限界「ここまでやりたい。でもそれ以上はしたくない」を無視しているのです。
「もう、これ以上はやりたくない」と、子どもなりの感覚というものがあります。しかし親はそれを認めたくないのです。
なので「もっと頑張れないの!」「どうして、これくらいのことが出来ないの!」と言ってしまうわけです。
子どもの独り立ちを許さない
子どもが実家を出て、独立するのを妨害したり、子どもの行動や考え方を「親好み」に変えようとする親がいます。
子どもは、いずれは実家を巣立って、自分の人生を歩もうとするでしょう。それは自然なことです。
親の仕事に、親離れ・子離れがあります。
しかし、親は子どもを過剰に心配するあまり、娘や息子が離れていくのはとても不安なのです。
また自分と同じ価値観・好みと同じにすることで、親は安心できます。
つまり自分の不安を払拭したくて、子どもの独り立ちを許さず、自分の想い通りにしたがるのです。
親が望む最高の子どもになって欲しいと願う
過干渉な親のなかには、自分が果たせなかった夢を子育てを通して実現しようとします。
自分が希望する最高の子どもになってもらうべく、子どもに指示したり忠告したがるのです。
子どもが本当に何を望んでいるかは無視される代わりに、親が叶えられなかった希望を叶えるための「習い事」などを子どもに与えるのです。
「サッカーじゃなくて、英会話スクールに行った方が良いとお母さんは思う」と言うわけです。
親が子どもの頃に叶えられなかった英会話を、子どもが望んでいなくても、英会話スクールに通わせるのです。
子どもと他の子を比較して子どもを躾する
過干渉な親は、娘や息子の内面を観ていません。
子どもの外面的な事柄ばかりに関心があるのです。
そしていつも自分の子と他の子どもと比較をします。
他の子どもと比べて、自分の子がより完璧になるように躾をします。
子どもが「完璧」になるように願うのは、それだけ親は子どもが失敗するのを見たくないからなのです。
なので先回りして、他の子と見劣りしているところを見つけては、それを正したくなるのです。
「そんなことやると笑われるよ」「もっと上手くできないと恥ずかしいよ」と言うのです。
完璧な親になって過保護になる
完璧な親になるために過剰に親の役割を果たします。その結果として、過保護になるのです。
つまり子どものために親業=子育てをするのではないのです。あくまでも「完璧な親」になって自分自身を満たすのが目的なのです。
「完璧な親」は、子どもがパーフェクトであることを強く求めます。
完璧であり良い子であるとき、子どもは親から認められます。
「失敗をする子」は悪い子だと見なされるのです。
親は完璧な子どもの姿を見たいので、たとえば子どもの友人関係にも口出しをします。
子どもが誰と遊びたいかよりも、親の好みに合った友達と遊ぶことが優先されるのです。
たとえば「(子どもが悪い子にならないために)あんな子と遊んじゃダメ!」と言うのです。
親にとっての「間違った方向」に子どもが育つのを回避したくて、親が子どもの友達を決めるのは過保護だと言えます。
このような親の過保護によって、「どんな人と付き合うと人生は愉しくなれて、面白くなるか。あるいは傷つくか」という大人になるための大切な経験が奪われるのです。
「過保護な親」「完璧な親」の前では、子どもは「優等生」「良い子」「従順な子」にならなければいけません。
子どもは本当の自分を抑圧して、親が気に入る自分を演じることになります。
親の助けがないと子どもは失敗すると考えている
私がいないとこの子をはダメになる。失敗すると判断します。
なので、親は先回りして子どもの代わりに何でもやろうとします。
子が失敗をしないように、親が「これをやりなさい」と指示をするのです。
「あんな人と付き合ってはダメだ」「あなたはこっちを選びたがるけど、後になって困ってもお母さんは知りませんからね」と言ってしまうのです。
大人になって、実家を出た娘や息子に、心配のあまり何度も電話をかけたりします。
「今日は何を食べたの」「たまには実家に帰りなさい」「今日はどこへ行くの誰と会うの? お母さんに教えてちょうだい」と、いちいち聞いてしまうのです。
私がいないとこの子はどうなるの? という行き過ぎた不安・心配は過干渉に至らせます。
まわりくどいコミュニケーションをする
「私がいないと、この子はダメになる」という不安感・心配性が激しくなると、親は子どもをコントロールします。
つまり、子どもをあやつるのです。そのために間接的な方法で意思の疎通を図ります。
つまり「Aさんの家では、こんなことがあったらしい。だからAさんのお母さんは、辛いんだって」
「Bさんの家では〇〇なのよ。だからお母さんはとっても楽だわって言っていたわよ」
といった具合に、まわりくどいコミュニケーションをするのです。
ほのめかす話法で、子どもをあやつるのです。
しかし、結果として子どもは不安を感じて、親を不信に思うのです。
親の過干渉によって子どもは自己肯定感をもてない
子供は、10代の終わりまでに、一人立ちするのに必要なスキルや技術を身につけておく必要があります。
子どもが安全であるためには親の保護は必要です。
しかしながら、失敗や痛み、問題を親がいつもヘルプしていると、子どもは大人になってから自分の力で問題を解決できなくなります。
いつも親が子どもを手助けするならば、子どもは自分がやりたいことを、やらせてもらえません。
「そんなことやってはダメ。あなたには、こっちが似合っているよ」といった具合に、本当に望んでいることを、子どもはやらせてもらえないのです。
なので、子どもは自分の力でやり遂げたとは思えないのです。
何かあれば、先回りして親がやってくれるからです。
そうなれば、子どもは試行錯誤できないので自己肯定感を持てないのです。
試行錯誤というプロセスがあってこそ、自己肯定感は体得できるからです。
自己肯定感とは、試行錯誤することで何かを獲得しようとした結果、親から「上手くできたね」「今回は残念だったけど、次は上手くできるよ」と承認されることで身につくからです。
ところが親が子どもが失敗するのを先回りして回避するならば子どもは試行錯誤もできないし、承認もされない。
失敗は悪いことではないのです。失敗することで「では、どうすればいいのか?」と計画性・洞察力などが育まれるからです。
けれど過干渉のなかで育つと、子どもは失敗さえ許されないわけです。
親が事前に「やるべきこと」を子どもに与えるからです。
親が子どもの自己決定権を奪ってしまうと、大人になるために必要なスキルを学べる機会が奪われますから、子どもが大人になった後、苦労をしてしまうかも知れないのです。
たとえば親の価値感や好みを子どもに押し付けることで、大人になってから「私はいったい何をしたいのだろう」と悩みだすかも知れません。
私のセラピーの相談者さんのなかで、こんな方がおられました。
「私が子どもだった頃、『このセーターが欲しい』と言うと、母親は『それより、こっちの地味な方が良い』と口出しするのです。
なので私の服は全部、母親が選んだものなのです。
だから大人になってから自分には何が似合うのか、何を選んだらいいか、自信が持てないのです」
と、言われる方がおられました。
親がなんでも子どもに与え過ぎると、子どもは決断力、責任感、独立心を養うことができなくなるのです。
それだけ、親と子の関係は、大人になっても影響をもたらすのです。
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米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお(心理セラピスト)