機能不全家族における「一人っ子」が経験する辛さ

私自身、一人っ子です。

機能不全家族を生き抜いた当事者です。

機能不全家族における「きょうだいがいない」がゆえの生きづらさがあるのです。

どういう「生きづらさ」があるかと言えば、

―「ウチの家って、なんか変よね」と教えてくれる人がいないので、知らぬ間に深い心の傷を負ってしまう。

―親のことで苦労をしていても「きょうだい」がいないため、家庭内で苦労をしている様子を誰にも見届けてもらえない。

―親子関係の気苦労を他人に打ち明けても「そうは言っても、親に大事に育てられたはずだ」などといった一人っ子への先入観があるために、悩みが一蹴されてしまう。

―他のきょうだいに「親の面倒」を任せて家を出ることが不可能であり、いつまでも親に関わらないといけない。

上記の理由で機能不全家族における「一人っ子」は大変な辛苦を味わいやすいのです。

そしてアダルトチルドレンになる可能性があるでしょう。

では次の章から、それぞれについて詳しくお伝えしながら、対処法にもふれていきます。

「ウチの家って変よね」と教えてくれる人がいない

機能不全家族では「おかしなこと」が当たり前に起きているものです。

家の中で「おかしなこと」が起きていても、「きょうだい」がいないと「ウチの家ってなんだか変だよね」と教えてくれる人がいません。

よって、一人っ子は家族の「おかしさ」に、気づきにくいのです。

では、何が「おかしいなこと」なのでしょうか?

そのひとつに「子どもが大切にされない」ことがあげられます。

子どもは家族から、ひとりの人間として尊重される必要があります。

そのために、家庭に安心感・安全性が保障されるべきなのです。

しかしながら、子どもが人間として大切にされず、家庭内に暴力や暴言が存在してる家庭であるならば、それは機能していない家族だといえます。

「子どもが大切にされていない」例として、他にもこういうものがあります。

  • 親子関係が逆転していて、子どもが親を慰めたり、世話をしなければいけない。
  • 親が親としての役割を果たしていない。
  • 親が子どもの気持ちや意思を認めない。
  • 子どもが親に伝えたいことを、きちんと聴いてあげない。
  • 子どもは何をしても、何を言っても、親から叱られる。
  • 家族から暴言を聞かされる。
  • ネグレクトがある。
  • 親の子への愛情が、条件付きである。
  • 親が、子どもに過度な期待と要求をする。
  • 子どもが親の思い通りにならないと、「あなたは何をしてもダメだな」と子どもの存在そのものが否定される。

・・・これらのことが、家庭内で起きているのは「おかしい」ことなのです。

機能している家族とは言えず、適切ではないという意味で「おかしい」のです。

具体的な事例をあげて、解説をしていきましょう。

「今度の日曜日、遊びに行きたい」と、子どもは親に伝えたいのです。

しかし機能不全家族では、子どもは素直に自分の欲求を親に伝えられません。

親の顔色をうかがいながら、自分の欲求を親に伝えるのです。

なぜならば「テストで良い点が取れたら、遊んでやる」といった具合に、親の期待と要求が満たされないと、子どもは遊びに行けないからです。

あるいは日曜日の朝から夫婦喧嘩が始まると、遊びに行けません。

そうなれば、親の機嫌が良くなることが、遊びに行ける条件になります。

つまり、機能不全家族では親の期待と要求を満たすことが優先されるのです。

そして、子どもの欲求や願望は後回しにされるのです。

そうであるならば、子どもは親のご機嫌を取ったり、顔色をうかがうなど、気を使わないといけません。

こんなの「おかしなこと」ですよね。

さらに家族に暴力があったり、暴言が飛び交っていたり、夫婦仲が悪かったり安心感が欠如していたりと、ますます子どもは親の顔色をうかがって生きるようになります。

こうした「おかしなこと」が「当りまえに」起きているのが機能不全家族なのです。

しかしながら、機能不全家族の「おかしさ」に、一人っ子は気づけないのです。

なぜならば「ウチの家って、おかしいよね」と、教えてくれる「きょうだい」がいないからです。

つまり、一人っ子は家族の「おかしさ」に距離を置けないのです。

そして「なんだか、しんどいな」と、知らぬ間に生きづらさを抱えてしまうのです。

これが、機能不全家族における「一人っ子」の辛さの源流なのです。

「親が辛い」ことが誰にも分かってもらえない

機能不全家族において、一人っ子の気苦労が絶えなくても、それを現場で見届けてくれる人がいません。

「ひとりっ子」は、親のことで苦労をしていても、それが誰かに理解されて受け止められる機会がないのです。

理解されないので、家族の気苦労を当然のように感じてしまいます。

家族とはこんなものだ」「親とはこんなものだ」と、疑うことなく信じ込んでしまいます。

子どもが親を慰めたり、夫婦仲を調節することは「おかしなこと」なのです。なぜならば親子関係が逆転しているからです。

しかし、その「おかしさ」が「当りまえ」になっていると、本来は親が果たすべき責任を子どもは背負い込んでしまう。

たとえ、「なんでこんな目に合わないといけないんだ!」と思っていても、悩みを打ち明ける「きょうだい」がいないのです。

知らぬ間に家族のことで我慢させられている。

そして人知れず悩みを抱えてしまう。

これも「一人っ子」の苦しみです。

ならば、家族以外の人に悩みを打ち明けるのは、どうでしょうか?

そこで、私たちは壁にぶつかってしまうのです。

「一人っ子」への先入観という壁

他人は「一人っ子は恵まれている」と、決めつけがちですよね。

たとえば、親が子どもに過干渉であったとしましょう。

自分がやりたいこと、好きなことについて、親に口出しされる。これは辛いですよね。

しかし他人は、このように言うわけです。

「お母さんは、あなたのことが心配なんだよ。親ってそんなものだよ。

ましてや子どもは、あなた一人なんだから」

「一人っ子だから、お父さん、お母さんはあなたのことが心配なのよ」

といった具合に、一人っ子が抱える苦悩は無視されるのです。

一人っ子だからと言って、親の過干渉の辛さが値引きされるものでもありません。

親の過干渉は「ひとりっ子」に集中します。これは多大な辛さを強いられます。

しかし、この辛さを他人に打ち明けても理解されにくいのです。

「ひとりっ子なんだから。あなたの親は心配なんだよ」といった具合に。

これも一人っ子の辛さなのです。

「実家を出て独り立ちする」ことへのハードルが高い

一人っ子であっても、実家を出てひとり立ちしてもいいのです。

しかし、一人っ子は「実家を出てもいいのか?」と、思わされるのです。

たとえば他の「きょうだい」が、実家を出たとしましょう。

独り立ちをした「きょうだい」を見ることで、「私も家を出ていいんだ」と思えます。

しかし一人っ子は、そういう「子どもが家から巣立つ」姿を見られません。

なので、「自分も家を出て独立しても良いのだ」と、なかなか思えないかも知れません。

あるいは「きょうだい」がいないので、「自分が家を出ると、両親は仲良くしてくれるかな」と、心配が先立ってしまう。

「自分が家を出ると、残された親はどうなるんだろう?」

「両親の喧嘩の仲裁は誰がするんだろう?」と、いちいち心配になります。

そして、実家を出ることをためらってしまう。

ましてや機能不全家族では、子どもが独り立ちすることが禁止されているケースがあります。

機能不全家族では、家族がお互いを縛りあって、抑圧しています。

なので、こんな暗黙のルールが家族に存在していることがあります。

家を出てはいけない

機能不全家族の親たちは、子どもが実家から出るのをひどく怖れます。

どうしてだと思いますか?

機能不全家族の親とは、たいてい自分の人生を歩んでいないものです。

よって、自分の子どもが、実家を出て自由になる姿を見るのが耐えられないのです。

なので、子どもが実家を出て「自分の人生を歩む」決意をすると、親はうろたえるのです。

「家を出るなんて! 私を置いていくつもりなの!」と、親から詰問されることは珍しくありません。

一人っ子ならば、なおさら「家を出るな」と引き留められるかも知れません。

なぜならば、頼れる子どもは、あなたしかいないからです。

「おまえが家を出ると、私は寂しい」と、暗に「家を出るな」と言われるかも知れません。

夫婦仲が悪い場合、子どもが家を出るとなれば、親はひどく抵抗するものです。

なぜなら仲の悪い夫婦の調停役だった「ひとり娘」「ひとり息子」がいなくなると、夫婦は困るからです。

「お父さんと一緒に暮らすのは嫌なのよ。だから家を出ないでほしい」といった具合に。

だから、一人っ子が家から出るのを、極端に嫌がるのが機能不全家族の親なのです。

相談者さんから、こんな話をよく伺います。

「私の妹は、家族のおかしさに気づき、早くから家を出ていった」

しかし、今まで述べてきたように、一人っ子は実家をすんなりと出るのが難しいのです。

この文章を書いている私は、ひとりっ子です。実家を出て、独り立ちをした経験があります。しかし家を出てからが大変でした。

毎日、何回も親は私に電話をかけてくるのです。

毎日のように親から手紙が届きました。

大家から鍵を借りて、勝手に私の家にあがりこみました。

その度に、私は胸が締め付けられる想いがしました。

実のところ、こうした事例は珍しくありません。

親はあの手この手を使って、子が家を出るのを妨害するケースは、本当に多いのです。

つまり機能不全家族の「一人っ子」にとって「独り立ち」は大きな難題になりがちなのです。

「一人っ子はアダルトチルドレンになりやすいの?」

あなたはひょっとして、こんな疑問があるのでしょうか?

「一人っ子はアダルトチルドレンになりやすいのかな?」

機能不全家族を生き抜くことで、生きづらさを抱えた人のことを、アダルトチルドレンと言います。

一人っ子だからアダルトチルドレンになりやすいとは言い切れません。

ただ、今までお話してきました通り、一人っ子は機能不全家族からの影響を受けやすく、影響それじたいに気づけず、また家族から離れて暮らすのも困難だと言えます。

よって、一人っ子は「アダルトチルドレン」になりやすいと言えるのかも知れません。

しかし、それはそうとして「ウチの家はおかしい」と気づけたご自身のことを褒めてあげてください。

なぜならば、一人っ子が「家族のおかしさ」に気づくのは容易ではないからです。

では、どうすれば機能不全家族の苦しみを乗り越えられるのでしょうか?

このことを、次の章でお話しましょう。

「家」を出る

機能不全家族の理不尽さを一身に引き受けてしまう「一人っ子」。

そうであるならば「家」を出ることです。

人間というのは、親から離れて自立したいと自然に思うものです。

あなたは生きたように生きてもいいのです。家を出るのは親不孝なことではありません。

しかしながら、

  • 実家を出るハードルが高い
  • 実家を出た後の親の生活が心配だ
  • ひとり立ちするのが怖い
  • 「自分を生きる」ことの意味がわからない

・・・このように悩んでおられたら、私はあなたのお役に立てることができます。

機能不全家族の「一人っ子」としての苦労を晴らしたい方は、ご相談をお受けしています。

ご相談のご予約は、下のオレンジのボタンを押して、ご相談お申込みフォームにお進みください。

お申し込みはこちらのボタンを押してください。

米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト

わたなべおいさお(心理セラピスト)