「機能不全家族で生まれ育った。なので、生きづらさを抱えてしまった」
このように、機能不全家族を生き抜いたことで、「生きづらさ」が感じられることがあります。
生きづらさには、以下のことが例としてあげられるでしょう。
- 出来事を対処する際に感じる強い不安や恐れ
- 自分の意見や気持ちを他人に伝えるのが難しい
- 辛い過去に囚われて未来の見通しが立てられない
- 人間関係で同じ躓き、過ちを繰り返してしまう
- なんだか自分が惨めに思える
- 何をやっても空しく感じる
- 頑張っているけど報われない気持ちになる
- 自分が何を望み、何を感じているかわからない……etc
これらを克服するには、何が必要でしょうか?
それは次の3つがあげられます。
- 親や家族との関わり方を変える
- 家族から学んだ間違った考え方に気づく
- 自分の人生を創っていく
このページでは機能不全家族によって生み出された「生きづらさ」を克服するための方法についてお伝えします。
注意して欲しいのが「間違った方法」で克服を目指すことです。
「間違った方法」で克服を目指すと、いつまでも悩みを引きずってしまうからです。
たとえば、40歳を過ぎても親子関係に悩んだり、
親への恨みや、過去への後悔にかられるとか、
「自分は何をしてもダメ」だと、自己否定的になる。
自信が持てないとか、自己否定感情にさいなまれるとか、
あるいは自分という存在そのものに不安を覚えることがあったり、
「私って、かわいそうな人……」といった具合に自己憐憫にかられる、
はたまた「自分は生きている価値がない」と思い悩んだり……。
このように悩みが深まるのは「間違った克服の方法」を選んだからです。
機能不全家族には身体的、性的な虐待が存在している場合があります。
またネグレクトや暴言を吐かれる、尊厳を著しく傷つけられる心理的な虐待がみられる家族もあります。
また程度の差も家族によって様々です。
大人になってからも、親と大喧嘩の毎日だったり、
親からの経済的搾取があったり、つきまとい、過干渉、ひとり暮らしをしている子どもの家に勝手にあがりこむ、
結婚して実家を出ている娘・息子夫婦への干渉といった様々なケースがあります。
いろんなケースがあったとしても「共通して言える不適切な克服の仕方」があるのです。
このことについて、今からお伝えしていきます。
毒親という言葉を使うのはやめましょう
スーザン・フォワードの著作「毒になる親」が有名になってから、毒親という言葉が使われています。
毒親について、様々なメディアで語られるのは普通になりました。
結論から言いますと、自分の親のことを毒親と呼ぶのはやめましょう。
なぜならば、親への怒りや憎しみが大きくなるからです。
実のところ「親」とは、目の前にいるその人のことではありません。
あなたが「親」と呼んでいるその人は、あなたの頭の中にいるのです。
「私の親って、こういう人だ」といった具合に、概念(イメージ)として「親」は頭の中で存在しているのです。
その頭の中にいる「親」のことを「毒」親と形容すると、どうなるでしょうか?
「毒親」という言葉で「自分の親の概念」を作ると、あとは苦しみしかありません。頭の中に「毒」を棲まわせてしまうから。そして、かえって親の悩みが深まります。
かつて「セックスレス」という言葉はありませんでした。その言葉はなくても、セックスをしない夫婦やカップルは大勢いましたし、さほど問題にもなりませんでした。
ですが「セックスレス」という言葉が知られてから、「悩み」を抱える夫婦やカップルが増大したのです。
このことからも分かるように「毒親」という言葉を使うと、親への怒りや憎しみが、よけいに燃え上がるのです。
ですから、たとえ毒親と呼びたい親であっても、無理をして苦しみを深める必要はありませんよ。
親と絶縁しても苦しみは消えない
「親と対決して、絶縁すべし」…..こんなアドバイス、よく見聞きしますよね。
しかし親と絶縁しても、別居しても、苦しみは解消しません。
もちろん問題のある家族から離れることは、必要な対処法です。
自分の身を守るためには、自分に危害を加える親から離れることは、正しいことです。
しかし親と絶縁しても、別居しても、苦しみは消えないのです。
親と絶縁して別居したとしても、、、
「親にされたこと、言われた言葉が頭から離れない」
「親への憎しみや怒りが止まらない」
「いつまでもこころが苦しい」
「自分はこれからどうやって生きればいいか分からない」
「自分に自信が持てない」
「いつも悲しくて寂しい」
・・・と、訴える方は本当に多いのです。
それは、なぜなのでしょうか? その理由を以下にお伝えしていきましょう。
機能不全家族とは、一貫性がなくて、いつも不安定なのが特徴です。
急に両親が喧嘩しだしたり、
いきなり親から叱りつけられたり、
親の言うことが、ころころ変わったり、
お母さんが急に涙を流したり、
日曜日、遊びに行く約束をしていたのに、お父さんが朝からお酒を飲んでいるので、急にキャンセルになったり、
そういう一貫性と不安定な家庭のなかで子どもは育つと、大人になってから「他者に対する信頼感」や「安心に満ちた世界観」を持つことが難しいのです。
ですから大人になってから、以下のような生きづらさを抱えてしまうのです。
機能不全家族で育った人が「大人になってから持ち越される生きづらさ」
- 自己否定感
- 罪悪感
- 深い孤独感
- むなしさ
- さみしさ
- 悲しみ
- 止まらない怒り
- 強い恨み、憎しみ
- 見捨てられ不安
たとえ親と絶縁したり、離れて暮らしても上記のような「生きづらさ」を抱えながら生きることになるのです。
そしてさらに、これらの生きづらさを「自力で解決しようとする」と、悩みはかえって深まります。
なぜなら以下のような問題へと発展するからです(のちほど詳しく解説します)。
- 薬物や飲酒などにのめり込んでしまって、抜けられない
- 恋愛関係にのめり込んでしまう
- うつ
- 強迫行動(ある特定のことにとりつかれる)
- 完璧主義
- 恋人などの他人を束縛したくなる
- 他人の問題解決にのめり込む
- 強い不安感
つまり親と絶縁しても、生きづらさに悩んでしまうのです。
もちろん親から危害が加えられているのでしたら、家から離れることは必要です。独り立ちしたければ、実家を出てもいいのです。
しかし親と絶縁しても、生きづらさに苦しむ人は多い。親との絶縁が正解ではないのです。
親は変わらない
親は変わりません。ましてや娘・息子に指摘されて「そうか。悪かった。改善します」なんて自身の行為態度を改めることを親はしません。
あまつさえ、娘・息子に指摘されても「親に向かって何を言うんだ」と言い返す始末です。
機能不全家族の親は、子どもの言いつけに従いません。なぜなら子どもに従うことで、親は自分の存在基盤を失うことを怖れるからです。
機能不全家族の親ほど「親の立場」を守り抜きます。親であることを子どもに振りかざします。
ですから、子どもからの改善要求に耳を貸しません。
よって親を変えようとしても時間の無駄なのです。
変えようとして頑張ったところで、「親に何を言うのだ」と言い返されてかえって傷つくかも知れません。
ですから親を変えるこころみはやめましょう。
人間とは、そんなにすぐに変わりません。たとえ、親を変えるならば、少なくとも親を育てた人たちを変える必要があります。けれど、それは不可能です。
「いつか親はわかってくれる。変わってくれる」という希望は叶わないし、叶わないと感じた時、とてつもない徒労感を感じるでしょう。
ですから親を変えるよりも、あなたは自分自身を生きた方がいいのです。
悲嘆のプロセスに浸り過ぎる
機能不全家族を生き抜いたことで、心の奥底に押し込めてしまった悲しみや怒り、心の傷つき。
あるいは「もっと大切にして欲しかった」という子ども時代に得られなかった喪失の体験。
こうした心の奥底に抑え込んだ「感情」「喪失」を言葉にして吐き出すカウンセリングやワークがあります。
しかし、こうした方法は逆効果なのです。
たとえば、カウンセリングのなかで、「過去の喪失を嘆いて深く悲しむ」というものがあります。
これはグリーフワークというのですが、これは余計に苦しくなるのです。
子どもの頃の辛い記憶を思い出して、抑圧した感情を言葉にして吐き出すのですが、いつまでも辛い記憶にひたってしまうのです。
つまり、過去の記憶をふりかえるカウンセリングを受けることで、
「親にひどい扱いを受けた記憶」を思い出すたびに、いつまでも苦しめられ、悲しんでしまう人がとても多いのです。
機能不全家族やアダルトチルドレンの克服をテーマにしたワーク、セミナー、カウンセリング、セラピーはたくさんあります。
その多くが、過去の親との辛い記憶に向き合わせるものです。
けれど、過去の辛い記憶に向き合っても、苦しみは解消されません。
むしろ、いつまでも悲しみにひたってしまう。
あるいは親への怒りが止まらなくなるのです。
感情というのは吐き出したら消えて無くなるものではないのです。
消えるどころか、怒り・悲しみという感情は、どんどん湧き上がってきて、キリがないのです。
結果として、いつまでも親にされたことへの怒りや悲しみ、恨みを抱えてしまう。
ですから過去の辛い記憶を掘り下げるカウンセリングは逆効果なのです。
傷つきを「痛み止め」行動で解決する
機能不全家族を生き抜いた人は、深く傷ついています。そうした心の傷つきを「痛み止め」行動で対処した場合、悩みは深まるのです。
以下のものが「痛み止め」行動と呼ばれているものです。
心の痛め止め行動とは?
- お酒を飲む。薬物に依存する。
- 仕事・恋愛・買い物・ギャンブルに依存する
- 恋愛・親子関係などの人間関係に依存する
心の「痛み止め」行動で、おなじみのものが飲酒でしょう。それは、お酒を飲むことで、苦しい自分を忘れようとする行為です。
恋愛にのめり込むことで、恋人との一体感になれる喜びで、心を癒そうとする人もいます。
ギャンブルでの高揚感で、生きづらさを忘れようとする人もいます。
パーッと買い物をすることで、心の憂さを晴らそうとする人もいます。
仕事に没頭することで、家庭生活など悩ましい現実を忘れようとする人もいます。
どれも一時的に心の傷つきや、生きづらさを麻痺させられます。しかし効果は決して長続きしません。
何かにのめり込むことで味わう「酔い」から覚めると、つらい現実や心の苦しみが、ひしひしと感じられるからです。
つらい現実や心の痛みを感じ始めると、さらに飲酒・ギャンブル・恋愛・買い物・仕事にのめり込みます。
「もっと恋人に愛されたい」「もっとお酒を飲みたい」と、のめり込んでしまうのです。
そしてついには、それらなくしては暮らせなくなるのです。日常生活に支障が出てしまうくらいまで飲酒をします。仕事が手につかないくらいまで恋愛にのめり込みます。借金をするくらいまで買い物をしたりギャンブルにのめり込みます。
こうした状態をアディクション(嗜癖)と言います。
アディクションには「アルコール依存症」「ギャンブル依存症」「恋愛依存症」「ショッピング依存症」「仕事中毒(ワーカホリック)」などがあります。
アディクションに囚われると、いけないと分かっていても止められなくなるのです。
アディクションの他にも「痛め止め」行動の行き着く先には「抑うつ」「強迫行動」「完璧主義」「他人への束縛」「強い不安感」があります。
他人を束縛してコントロールしているうちは、自分のこころの痛みを忘れることができます。自分の意識を他人に向けることができるからです。
自分の力で克服しようとする
機能不全家族の克服で、いちばんやってはいけないこと。それは自分の力で克服しようとすることです。
機能不全家族を生き抜いた方は、つい自分の頑張りでなんとかしようとします。
誰かに頼るとか、助けを求めるのはいけないことだと、感じていませんか。
されど、あなたは今まで孤軍奮闘をされてこられたと思います。
家族の悩みを他人に打ち明けるのは難しいからです。なので、どうしても孤独のうちに思い悩むことになります。
この孤独感によって家族の悩みは、さらに深まるのです。
自分の心の奥底に悩みをぐっと押し込めているうちは、苦しみは解消されません。
今のあなたは、こんな悩みに行き当たっていませんか?
- 「いつも親のことが頭から離れない」
- 「何をしても楽しくない」
- 「どうして頑張っているのに報われないんだろう?」
- 「どうしていつも同じところで躓くのか?」
- 「初めは順調でも、やがてダメになるのは、どうして?」
- 「どうして思い通りに行かないのだろう?」
・・・これらの悩みって、とってもしつこくないですか?
そしてまた、これらの悩みの原因は自分自身では気づけないものです。
自分で気づけないからこそ、同じ悩みにいつまでも悩まされるのです。
ですからひとり孤独になって、悩みを抱えないでください。
自分の力で機能不全家族から克服を目指そうとはしないでください。
では、どうすればいいか?
具体的な克服の方法については、以下のページでお伝えしていますので、必ずお読みください。
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお