「自己肯定感を高めたくてセミナーに行きました。
しかし効果なかったのです」
「心が落ち込むたびに心理の本を読んでしまいます。
でも、自己肯定感は上がらないのです」
こんなお声を相談者の方から、打ち明けられるようになりました。
「自己肯定感を高めよう」としても、また「低くなってしまう」というのです。
「私は大丈夫だ」と思いたい。だけど自分を否定してしまう。
だから自己肯定感を高めたい。でも「元に戻ってしまうんです」と、相談者さんは、私に言われるのです。
生きづらさを抱えて生きてこられた相談者にとって、これは切実なお悩みだと私は感じました。
では、どうしてセミナーで学んでも、本を読んでみても自己肯定感は高くならないのでしょうか?
その理由は明確です。
「自己肯定感を高めるためのアドバイス」とは、優しさに欠けているからです。
ほとんどの「アドバイス」は、生きづらさを抱えている人にとって、苦しみを蒸し返すばかりであって、負担が重いのです。
どうしてそう言えるのでしょうか。
たとえば「自己肯定感を高めるためのアドバイス」って、こんなものがありますよね。
こんなことを言われても、どうですか?
「自己肯定感が低いのは、親のせいだ」なんて言われても、「今さらどうすればいいの?」と困ってしまいませんか?
親なんて選べませんからね。
「今までの親との関係を振り返ってみましょう」と、言われても苦しいだけです。
「過去のつらい親子関係」を蒸し返されても、苦しくって、むかついて、腹が立つだけではありませんか?
また、次のような「過去に原因を求める」タイプのアドバイスは、ほんと多いです。
「あなたの自己肯定感が低い理由は、過去にあります」と指摘されても、今さらどうすることも出来ません。
現在の自分は、過去に戻ることなんて出来ませんから。
また過去に原因を求めると、「私の人生には問題があるんだ」と自己否定につながりませんか?
「過去の辛かった出来事や親との関係を、許しましょう」というアドバイスもありますけど、そんなに簡単にはいかないでしょう。
許せるくらいなら、今の自分はここまで思い悩んでいませんからね。
……これもよく言われるアドバイスです。
けれど、つらい記憶を思い出すたびに、苦しみが蒸し返されます。
実のところ、過去の記憶がずっと思い出されて、悲しみや怒りに浸ってしまう方は多いのです。
他にも自己肯定感を高めるアドバイスには、こんなものがあります。
これらのアドバイスを、やってみて上手くいきましたか?
ダメな自分を受け止めようとすると、「こんな自分をなんとかしなくっちゃ!」と、焦りがつのりませんか?
「考え方の癖に気づきましょう」って言われますけど、癖は気にすると、よけいに気になりますよね。
「ああ、また私はネガティブになっているわ!」と。
気にすると「癖」はかえって大きくなるもの。余計に思い悩んでしまうでしょう。
さて、ここまで見てきました通り、
「自己肯定感を高めるためのアドバイス」って、生きづらさが深い人ほど、負担が大きいのです。
……生きるのにしんどい人ほど、解決方法は軽くあるべきなのに。
では、どうすればいいのでしょうか?
生きづらさから抜け出すには、どうしたらいいのでしょう?
それは自己肯定感を「高める」のではなくて……「外す」のです。
自己肯定感を低くさせる感情をあなたから「外す」のです。
「自信のある私」「自分軸のある私」「自己評価の高い私」になろうとしても、それを邪魔する「感情」があります。
それは「自分という存在そのものを傷つける感情」です。
感情にはいろいろありますよね。
たとえば怒りや悲しみ。
怒りや悲しみは、つらい感情です。けれど、あなたという存在を傷つけたりはしません。
しかし以下にあげるような感情は「人の存在を傷つける感情」なのです。
- 「こんな自分は許せない」
- 「こんな自分は、みっともない」
- 「私は人生の負け組だ」
- 「自分の弱さは人に知られてはいけない」
- 「自分には価値がない」
- 「自分はダメだ」
- 「悪いことが起きるのは、すべて自分のせいだ」
- 「こんな私なんて誰も好きになってくれない」
- 「自分は必要とされていない」
- 「自分には何か抜け落ちている感じがする」
- 「私には居場所がない」
- 「こんなに生きづらいのは自分だけだ」
- 「私のことなんか誰にも理解されない」
- 「自分には幸せになる資格なんてない」
- 「本当の自分が知られると私は人から嫌われる」
……いかがでしょうか?
ちなみに、上にあげたこれらの「言葉」によって、私は長らく苦しめられました。
これらの「言葉」は、私の頭のなかでマントラにように、ずっと響いていました。
そして私は、自分自身を痛めつけていました。
痛めつけるとは、おおげさな表現ではありません。
なぜならば、
これらの「言葉」が作り出す感情とは「自分という存在そのものを傷つける感情」だからです。
そしてその「感情」とは、怒りや悲しみとは違って「自然な感情」ではありません。
では、「存在を傷つける感情」は、どこからやって来たのでしょうか?
それは、あなたの外からやって来たのです。
外部からやって来て、あなたに植え付けられたのです。
つまり実のところ、それはあなた自身の感情ではありません!
今から、とても大切なことをあなたにお伝えします。
「私という存在を傷つける感情」……あなたから自尊心を奪い、自己評価を下げる感情は、外部から「言葉」で植え付けられました。
「言葉」によって植え付けられたのだから、「言葉」で「外す」ことが出来るのです。
ですから自己肯定感を「高める」のではなくて、
まずは自分という存在を傷つける感情を「外していく」のです。
つまり「大切な私を否定して、傷つける感情」は、自分から外して、外に出して消滅させるのです。
この一連の流れ……「自分から外して、外に出して消滅させる」ことを私のセラピーでは実践しています。
「自分という存在そのもの」を否定して傷つける感情は、とても苦しい感情です。
だからこそ、「この苦しい感情を受け止めなくては!」と頑張って克服するのではなくて、
愉しみながら安心感に満たされながらセラピーを進めていきます。
「愉しみながらやるなんて!」と思われるかも知れませんね。
けれど、とても苦しい感情だからこそ、真剣に愉しんで、遊び心でやった方が上手くいくのです。
あなたと私と一緒になって、大切な「あなた」という存在を傷つける感情を消していきましょう。
なんのために?
「私は私であっていいんだ」と心の底から思えるために、です。
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