アダルトチルドレンの苦しみ―。
この苦しみを解決するための最初のステップがあります。
それが、アダルトチルドレンの「悩み」と「課題」を明確にすることなのです。
「自分は、どんなことで悩んでいるのか?」と、あなたは悩みがわかりにくいのではありませんか?
ですから、自分自身の「悩み」「課題」をはっきりさせることは、とても大切です。
「悩み」があって、その「悩み」をクリアするための「課題」とは?
このことを明確にすることで、やるべきことが見えてきます。
アダルトチルドレンとは「共依存の生き方」
アダルトチルドレンを別の言い方で表現すると、こうなります。
「共依存の生き方」
共依存とは「他人の問題解決のために生きる」ことです。
「共依存の生き方」をやめることで、アダルトチルドレンという生き難さは緩和されるのです。
ですから、カウンセリングでは共依存の生き方を見直して「自分の人生を生きる」ことを目指していきます。
ちなみに共依存とは、おたがいが依存しあうという意味ではありません。
では、次の章で共依存の意味を理解しておきましょう。
共依存とは?
共依存とは「他人の問題解決に必死になりすぎて自分を見失う」状態のことです。
あなたは他人の要求・期待に応えるために頑張り過ぎていませんか?
他人の問題の解決のために尽力して、自分のことは後回しにしていませんか?
職場の上司の指示や期待に応えるために、休みなく働いていませんか?
恋人や家族に尽くし過ぎていませんか?
もし、そうであるならば共依存の傾向があるといえます。
あなたは、以下の内容のような「共依存の生き方」になっていませんか?
- 周囲の期待と要求を満たすことばかりやって、自分のケアをないがしろにしている。
- 言いたいことを素直に言えない。
- 本当は苦しいのに、冷静さをよそおい強がってしまう。
- 他人の問題には熱くなって頑張れるのに自分自身のことになると冷めてしまう。
- 仕事などで、どんなに頑張っても自分にOKが出せない。
- なんとなく空しくて満たされない。
- いつも漠然とした不安がある。
- 周りの目線が気になり、自信がもてない。
- 相手の人の意見に合わせてしまう。断ることができない。
いかがでしょうか?
このようにアダルトチルドレンの生き方である「共依存」とは他人中心の生き方なのです。
他人中心とは、「自分の気持ちよりも、他人の気持ちが大事になっている」ということです。
自分の気持ちは置いてけぼりなのです。
それよりも他人が何を感じて、何を考えているかを気にしているのです。
こうした「他人中心」の生き方によって、次の章であげるアダルトチルドレン特有の悩みが作り出されるのです。
アダルトチルドレン特有の「4つの悩み」
アダルトチルドレンは、以下の「4つの悩み」をかかえています。
人間関係の問題
あなたは、このような人間関係における悩みを抱えていませんか?
- 大事な相手から見捨てられる不安感が強い
- 人付き合いで気を使いすぎて疲れる
- 親密な関係になるのに恐れがある
- 断ることができない
- 家族・親戚・同僚など他人の悩みや問題の解決のために頑張り過ぎて疲れ果てる
- 恋人と別れたいが、孤独になるのがこわくて別れられない
- 人から嫌われたり仲間外れになるのがこわい
- 周囲の人にとって「良い人」になろうとしてしまう
以上のような考え方や感じ方は、ときに自分自身を追い詰めるでしょう。
これらの他人への関わり方を変えることで、愉しくて温かみのある人間関係を作っていきましょう。
不全感
不全感とは「満たされない思い」「自分のことがわからない」といった感覚です。
アダルトチルドレンの方は、とかく自分のことを後回しにして親や他人のために一生懸命に生きてきました。
ゆえに次のような「自分のことがわからない」「何をしても満たされない」感覚になりやすいのです。
- 将来を見通すことができない
- 自分が何をしたいかわからない
- 自分の感情がわからない
- 自分が何を求めているのかつかむことができない
- 自分のことが知られるのがこわいのか、自分を隠して生きている感じがする
いかがでしょうか? こうした不全感に気づいて、自分の欲求を満たす人生を始めていきましょう。
完璧主義
完璧主義は、仕事を最後までやり遂げられる原動力となるでしょう。
しかしながら、「自分の思い通りにならないと困惑する」など、生きづらさを感じる原因にもなるのです。
では、なぜ完璧主義になるのでしょうか?
親などの期待と要求に応えることで、承認を得ようと頑張ってきた人は、ミスや失敗をして評価が下がることを怖れます。
よって、完璧主義に陥りやすいのです。
完璧主義の特徴とは?
- 自分の思い通りにならなかったらイライラしたり、不安になる。
- 相手にも自分にも完璧を求めてしまう。
- 自分や他人への評価の基準が高いので、人間関係が緊張していて余裕がない。
- 人一倍、仕事をこなせる。しかし休めないので疲弊している。
- 休みの日になると何をしていいかわからず不安になる。
- 「正しいか・間違いか」「良いか・悪いか」と白黒思考が強い。
- 白黒はっきりしないと気が済まない。
- 相手が悪いか、自分が悪いか、はっきりさせたい。
- 失敗した自分をひどく責めてしまう。
いかがでしょうか?
完璧さを求めすぎるあまり、自分の行動の結果が「成功か失敗か」の2択しかなければ、とても窮屈な人生になると思いませんか?
「私は失敗しても大丈夫だ。いくらでもやり直せばいいのだから」という考えの方が、生きやすいと思いませんか?
「成功か。失敗か」「正しいか。間違いか」「認められるか。認められないか」という対立から抜け出しましょう。
アディクション(嗜癖)
アディクション(嗜癖)は、あまり耳にしない言葉かも知れません。
アダルトチルドレンの苦しみをモノや人で解消する行為―これをアディクション(嗜癖)といいます。
アディクションには、次のようなものがあります。
- アルコール依存
- 薬物依存
- ギャンブル依存
- 買い物・ショッピング依存
- 仕事中毒(ワーカホリック)
- 恋愛依存
- 摂食障害
- 世話焼きといった人間関係の嗜癖
以上のやり方で、生きづらさを忘れようとするアダルトチルドレンは少なくありません。
たとえばお酒を飲んで酔うことで、苦しみを忘れようとします。
しかし、苦しみを忘れられるのは酔っている間だけです。
酔いが醒めて現実に戻ると、ふたたび苦しみを感じるのです。
ですから、またお酒を飲んでしまう。そしてしだいに、お酒を止めることが出来なくなる。
「1杯くらいならいいだろう」と、思うのですが、強い刺激でないと苦しみが癒せなくなり、飲酒の量が増えていきます。そして、大量のお酒を毎日のように飲んでしまう。仕事をしていてもお酒のことばかり考えます。朝、起きるとすぐにお酒を飲もうとします。日常生活に支障が出始めてきます。・・・こうしてアディクションという悩みに支配されていくのです。
以上、アダルトチルドレンの生き方が作り出す「悩み」をお話してきました。
では、これら4つの「悩み」はどうすれば解消できるでしょうか?
それは「悩み」の原因となっている「共依存」をやめることです。
もちろん共依存の思考の癖、行動の癖を拭い去るのは容易ではないかも知れません。
しかしながら、次の章で示すように「3つの課題」に分解すると解消しやすくなるのです。
アダルトチルドレンの「3つの課題」
共依存は子どもの頃の親子関係のなかで身につきました。
そして長年の習慣によって無意識に私たちの生き方に影響をもたらしています。
共依存がもたらす苦しみ、生き辛さ、孤独感、深い悲しみ、強い不安……それは大きな塊のように感じます。
まともに戦えば弾き飛ばされそうです。
ですが、心配ありません。
この大きな塊を「3つの課題」に分解することで解消の道筋が見えてきます。
アダルトチルドレンの「3つの課題」とは?
- 感情を抑えている
- 誰かに踏み込まれている
- 生きづらさを抱えている
これらの課題をクリアすることで、アダルトチルドレンの苦しみから抜け出せます。
「感情を抑えている」
幼い頃から、家族の誰かの機嫌をとったり、顔色をうかがいながら生きると、大人になってから自分の感情や欲求を後回しにする癖が身についてしまいます。
つまり、自分の感情や望みがわからなくなるのです。
自分の感情を抑えると、「やりたいこと」が分からなくなります。よって将来を見通す、ビジョンを描くのが難しくなるのです。
「誰かに踏み込まれている」
いきなり怒鳴り声を浴びせられたり、親が夜に飛び出し帰らなかったり……家庭内が混乱した状況が常態化していると、子どもは「どこまでが自分で他人なのか」といった自他の境界線が曖昧になります。
いつも家族から驚かされたりすると、びくびくしながら生きることになると、いつも他人によって自分は侵犯されることになる。
他人はいつも自分を抑えつける。だから、つい他人の行動・気持ちに敏感になってしまう。他人に対してビクビクしてしまう。
そうすると、自分の気持ちは他人次第になるのです。
幼い頃から聞かされる親の悲しい境遇を、自分事のように思って悲しくなる。
そんな悲しみをかかえた親をずっと慰めたり。
親の事情や都合が優先されたり。
親からの暴言や暴力に襲われても、身を守ることができなかったり。
このような状態が当然になっている家庭では、子どもは自分の領域を守れません。
常に自分の心身の領域は親などの他人に侵犯されているので、子どもは自分と他人を分ける境界を体得できなくなります。
よって大人になっても自分の領域は、容易に他人に踏み込まれます。
他人に踏み込まれる・・・いつも他人からいやがらせをされたり、馬鹿にされたり、無理な要求を飲まされたりするのです。
そうなると周囲の言葉や行為に傷つきやすくなり、逆に心を閉ざしてしまいます。
あるいは無理をして陽気にムードメイカーとして振る舞い、相手に受け入れてもらおうとします。
「生きづらさを抱えている」
アダルトチルドレンは、今まで苦労をしてきました。
家族の問題を背負い込んで生きてきたからです。
なので多くのアダルトチルドレンは失望し、疲れ切っています。
やるせなさ、報われない苦しみを抱えて生きています。
家族のなかで暴力や暴言があった。
虐待やネグレクトがあった。
親の過干渉に悩んだ。
両親の不仲や借金問題、女性問題に悩んだ。
・・・このような苦労を味わうことで、アダルトチルドレンは以下のような言葉を信じ込んでいます。
「何をやっても報われない、やるせなさを感じる」
「どうせ自分の辛さなんて理解されない」
「私がやらないと問題は解決しない」
「頑張っても報われない」
「なにをやっても無駄だ」
「自分の価値は他人の評価で決まる」
「人は必ず裏切る」
「女は(男は)汚い」
・・・このようなことを信じ込んでいます。
こうした信じ込みが、大人になってからの自分自身を追い詰めるのです。
しかし、アダルトチルドレンは他人に「助けて欲しい」と言えないものです。
どんなに苦しくても他人に助けを求めることもできない。
孤軍奮闘してしまうのです。
よって、ずっと辛さの中にとどまっているのがアダルトチルドレンなのです。
さて、「3つの課題」をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
私がやっている心理セラピーでは様々な心理技術を使って「3つの課題」をクリアしていきます。
では、私がやっていますカウンセリング(心理セラピー)の内容については、次のリンクのページをお読みください。
米国催眠士認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお(心理セラピスト)