従来型のAC回復の方法とは、当事者にとって負担の重いものでした。
ですから途中で挫折をして、あきらめてしまう人が多かったのです。
ACを回復した人だからこそ知っている内容を、これからお伝えします。
つまり負担の軽い回復法があるのです。
アダルトチルドレン(AC)を回復した人からのアドバイス
アダルトチルドレン(AC)の回復とは何でしょうか?
どうなれば回復できていると言えるのでしょうか?
良く知られている「AC回復の目安」というものがあります。
それは「自分の人生に責任を持つ」というものです。
つまりこれは、「(親のせいにしないで)自分の人生に責任を持つことができたら回復できている」というのです。しかし、この目安をクリアするのはとても難しいのです。
「人生に責任を持つ」というのは、今まで過酷な環境で生きてきたACにとって「さらに頑張らないといけない」と思わせるくらいハードルの高いものだからです。
「家族問題の解決」など、様々な責任を背負い込んで生きているのがACです。
親が果たすべき「親の人生」の責任まで背負い込んでいる。しかも、孤軍奮闘しながら頑張っている。
そこへさらに「自分の人生に責任を持ちましょう」とアドバイスされても、「親のことで精いっぱいなのに、人生に責任を持てといわれてもね」と、しんどさを感じるのではないでしょうか?
試練の多い人生を耐えてきた人に対して「自分の人生に責任を持て」とアドバイスしてみたところで、やる気が起きるでしょうか? いえいえ。きっと気が滅入るはずです。 「もっと頑張らないといけないの?」といった具合に。
もうこれ以上、責任なんて持ちたくない。むしろ逃げ出したいんだよ・・・そう思うのがアダルトチルドレンの本音ではないでしょうか?
だからこそ、自分の人生に責任を持つ・・・そんな大上段に構えず、もっと気楽に生きることで回復を目指すのはいかがでしょうか?
今までの回復の目安(ゴール)はハードルが高すぎるのです。ですから「気楽に生きる」・・・これをAC回復のゴールとしたいと私は思います。
その「気楽に生きる」というゴールを達成するために、次の「3つの課題」をクリアして頂きたいのです。
- 「生き残るための技術」を捨てる
- 「自分に言い聞かせている自縛のメッセージ」に気づく
- 「自分を許す」
では以上の内容を、今からしっかりとお伝えしていきます。
「生き残るための技術」を捨てる
そもそもどうして、アダルトチルドレンの生きづらさから回復するのは難しく思えるのでしょうか。
それは、過酷な家庭を生き残るために身につけた「技術」が、あなたの中にまだ残っているからです。
子どもだったあなたは、暴力・喧嘩・暴言・無視が当たり前に存在していた家族をサバイブするための「技術」を身に着けました。
その「技術」を大人になっても捨てきれず、今でも使っているのがACなのです。
私たちが育った家族では、親が急に暴れたりします。
急に親が子どもを叱ったり、怒ったりします。
さっきまで平和だったのに、両親がたがいを罵りあい、大喧嘩が始まります。
親は平気で約束を破ります。
「日曜日は遊びにいこう」と親は言っていたのに、日曜日の朝からお酒を飲んで寝ています。
つまりあなたが育った家庭は、とても不安定だったのではありませんか?
そしてさらに、家族はあなたのことを守ってくれませんでした。
むしろ「お前はダメなやつだ」と、親はあなたの尊厳に傷をつけました。
あなたが悲しくて泣いていても「いつまでも泣くな」と叱りつけました。
とても不安定で、子どもの尊厳を傷つける家族を生き抜くために、あなたはたくさんの「技術」を身につけたかもしれません。
技術といえば、なんだか良いもののように思えます。けれど「我慢する」というのはACが身につけている技術の代表例です。
この「我慢する」という技術は、あなたの将来のために役立ちそうですか? 気楽に生きるために役立つでしょうか? 考えてみてください。
過酷な家族を生き抜くために、「辛抱強い」という技術を身につけた人もいるでしょう。
暴力的な親から気に入ってもらうために「真面目になる」「良い子でいる」という技術を身につけた方もおられるかもしれません。
暴力や暴言をまき散らす親から自分の身を守るために「自分の存在を消す」「自分の欲求を抑える」という技術を身につけた人も少なくないでしょう。
このように、様々な技術を身につけることで、自分自身を守ったのです。
自分自身を守るのは良いことです。そのために「技術」を身に着けた。それは決して悪いことではありません。
しかし大人になってから家族以外の人間関係において、辛い家族を生き抜くための「技術」を使っていたら、自己犠牲的な生き方をしてしまうことになります。
家族以外の人間関係とは、たとえば以下のものがあるでしょう。
- 友達
- 知り合い
- 恋人
- 上司
- 同僚
- 後輩
- 先輩
- 年上の人
- 先生・教師
- ママ友
- 近所の人たち
- 子どものクラスメイトの親たち
- 親戚・配偶者の親戚たち
- お店の人
こうした人たちの関係で、しんどくなったり、支配されたり、気を使い過ぎてしまったり、要求を突き付けられたり、断りずらかったり、ハラスメント、いやがらせを受けたりしていませんか?
もしそうだとしたら、子ども時代に家庭を生き抜くために身に着けた「技術」を使っているかもしれません。
子ども時代に「自分を犠牲にすることで自分自身を守る」という習慣が大人になっても持ち越された場合、いつまでも自己犠牲的な生き方をしてしまうのです。
自己犠牲的な生き方とは、次のようなものです。
- とても辛抱強くて我慢強い
- 相手からひどい扱いを受けても、ぐっとこらえて我慢してしまう
- 嫌な言葉を吐き捨てられても、すぐに相手を許してしまう
- 大切なお金や時間を相手から奪われても、その相手に従ってしまう
- やたらと自分の身体を触られても「やめてほしい」と言えない
- 自分の意見を抑えて、その場の雰囲気に従ってしまう
- いつも相手の言いなりになっている
- 恋人に何度も浮気をされているのに別れられない
- 家族の問題解決を優先にして自分のやりたいことを我慢している
- 突然の変化や混乱によって被害を受けても、とても冷静でいられる
- 相手の理不尽な要求を断らず受け入れる
- 相手から悪口をいわれても言い返さない
といった具合にアダルトチルドレンは、自分を犠牲にすることで、自分を守ろうとするのです。
それは過酷な家庭に適応するために身に付いた「技術」が、そうさせているのです。
相手の要求を優先することで、自分を守ろうとする。これが自己犠牲的な生き方につながる。そして生きづらさからの回復は遅くなる。
あなたは、相手の無理な要求を断らず我慢していませんか?
他人に自分の心をオープンに開けないので、自分の意見や気持ちを相手に伝えるのが難しく感じていませんか?
そうであるならば、子どもの頃に身につけた「自分を抑えて相手を優先する技術」があなたの中にまだ残っているからです。
たとえ、自分を抑えて相手を優先することで「生き残る」ことができたとしても、あなたの人生は愉しみのない味気ないものになります。
つまり回復が進まないのは、子ども時代に身につけた技術・考え方を捨てることができず、大人になっても活用しているからです。
しかしながら、ただ「生き残る」だけの人生から、充実した豊かな人生にチェンジすることは可能です。
そのためには「生まれ育った家族をサバイブするために、自分はどんな技術を身に着けたか」をふりかえる必要があります。
過酷な機能不全家族を生き抜くために、自分はどんな技術(スキル)を身に着けたか?
その技術は、現在の私の役に立っているだろうか? どんな影響があるだろうか?
これらのことに気づいて、役に立っていない技術を捨てることが、アダルトチルドレン回復の第一歩なのです。
ここまで読まれて気づいたことはありますか?
そうです。他人に対して責任を取り過ぎないことなのです。
「自分を縛るメッセージ」に気づく
これから、自分自身に言い聞かせているメッセージに気づく作業をやっていきましょう。
次にあげるのは「アダルトチルドレンが、自分に言い聞かせている自縛のメッセージ」のリストです。一度、目を通してみてください。
- 失敗をすると自分の評価は下る
- 他人に必要とされる人間になるべきだ
- 間違ってはいけない
- いつだって完璧でノーミスであるべきだ
- 他人に無視されたり拒絶されるのは怖いことだ
- 弱音を吐くのは情けない人間である
- 友達がいないのは恥ずかしいことだ
- 人に助けてもらうのは無能である
- たくさんの人から必要とされなければいけない
- 他人からの期待と要求には何があっても応えるべきだ
- 人に何かを頼むのは良くないことだ
- 一度でも世話になった人からの要求は飲むべきだ
- 自分が正しいことを証明したい
- 他人の悩みを私は解決しなければいけない
- 人生は最悪の連続だ
- 自分だけ楽しむのはいけないことだ
- 自己主張はわがままだ
- 何事も自力で解決すべきだ
- いつも明るく元気でなければならない
- 人と対立してはいけない
- 人ともめてはいけない
- 他人と自分の意見が違うと居心地が悪くなる
- いつだって積極的に行動するのは良いことだ
- 雰囲気が悪くなるくらいなら相手の意見に同意すべきだ
- 機嫌の悪い人がいたら、気分を良くしてもらうべきだ
- 自分さえ我慢すれば問題は解決できる
- 友人と意見が違うのが分かると、落ち着かなくなる
- 自分の本音を話すのは危険だ
- 一度決めた事は守るべきだ
- 問題の解決は途中で放棄せずに最後までやるべきだ
- やりたくないことでも、最後までやり遂げないといけない
- 私の正しさは誰かに同意されなければならない
- 自分は誰からも好かれて認められるべきだ
- 自分は幸せになれない
- 私なんて誰にも理解されない
- 一度でも失敗するともうダメだ
- 失敗は恥だ
- 頼りがいのある人間にならなくてはいけない
- 強くないといけない
- 女性らしく生きなければいけない
- 男らしく生きなければならない
- お金がないと生きていけない
- 失敗すると人から嫌われる
- 一生懸命に頑張って乗り越えてこそ大人だ
- やりたくないことをやることで人は成長できる
- どんなことでも相手を受け入れないといけない
- 人から好かれるためには、なんでも一生懸命しなければいけない
- みんなが出来ることは自分も出来ないと恥ずかしい
- 人に迷惑をかけてはいけない
いかがでしょうか? これらのメッセージがあなた自身を縛っていることに気づいてください。
これらのメッセージをあなたが厳守すると自己犠牲的に生きてしまいます。
これらのメッセージを信じ込んでいたら、柔軟さのない硬直した生き方・・・生きづらさに満ちた人生へと傾くでしょう。
たとえばあなたが、「間違ってはいけない」というメッセージを自分自身に言い聞かせているとしましょう。
どんな時も「間違ってはいけない」とがんばっているうちに、心はいつも緊張して余裕はなくなります。自分のミスが他人に知られるのが怖くなり、人間関係は窮屈になるでしょう。
そうなれば柔軟さのない硬直した生き方になるので、回復は遅くなるでしょう。
よって、「自分に言い聞かせているメッセージ」が自分を気楽にさせるのか? しんどくさせているか? 考え直すことはとても重要です。
もし、自分に言い聞かせているメッセージがあなたを、しんどくさせて緊張させるものならば、そんなメッセージは捨てましょう。
自分を許す
さきほどは「自分に言い聞かせているメッセージ」についてお話をしました。
そのメッセージが自分自身を縛るのであれば、そのメッセージから抜け出す方法があります。それが自分を許すことなのです。
自分を許すことで、あなたにとてつもない解放感と大きな福音が訪れます。
ちなみに自分を許すのであって、他人を許すのではありません。
たとえば「自己主張はわがままだ」というメッセージを自分自身に課しているとしましょう。
ということは、「言いたいことが言える」自分を認めていないわけですよね。
よって「言いたいことを言ってもいいんだ」といった具合に、自分を許すのです。言いたいことを言う許可を自分に与えるわけです。
でも、言いたいことを言うことで反発されたり、嫌われたりするのでは? とあなたは考えるかもしれませんね。
しかし、相手に反発されない、嫌われない、むしろ自分の意見・気持ちをスムーズに伝える技術を身に着ければいいのです。
そうです。アダルトチルドレンが厳しい家庭をサバイブするために身に着けた「技術」から、対等な関係性を築く「技術」に置き換えていくのです。
「失敗は恥だ」と思いこんでいたら、少しのミスでも落ち込んでしまう。
そこで「失敗してもいい。躓きの経験は学びに変えればいい」と許すことで、まずは緊張しなくてもよくなる。気楽になれる。よって生きやすくなるでしょう。
失敗してはいけないとなると、やりたいことに着手するのが難しくなります。けれど「まずは小さいステップを踏みながらやっていこう」と思うことで、新しい自分に出会うことができるかもしれません。
つまり自分を許すのは、あなたを硬直から解き放ち、自分らしい人生を創ることができるのです。
しかしながら、自分を許すのは難しいものなのです。
いちばんに許すべきことについて、人は気づけないから。
なぜだと思いますか? それは自分には気づけない盲点があるからです。
「間違ってはいけない」という思い込みが自明であり、当たり前のものだと認識していたら、それは盲点になります。そして、いつまでも「私は間違ってはいけない」と自分に言い聞かしてしまうのです。
そしてさらに「あいつが憎い!」「親がムカつく!」など、他人に対して感情的になっていたら、自分にとって必要な許しが見つかりません。
なぜなら自分に制限を課している何かを見つけて許していくには、自分に意識を向ける必要があるからです。それも冷静になって落ち着いて。
ですから、専門家と一緒になって「自分の何を許していくか?」を探っていく旅に出ませんか?
心理カウンセラーの私と一緒に「ACからの回復」を目指していきませんか?
私へのご相談はこちらで受け付けています。
ご自身で探求したくて、でも上手くいかない場合は「思い込み」が邪魔をしている可能性があります。以下のページで解説していますのでお読みください。
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお(心理セラピスト)
コメント