機能不全家族を育った人の特徴として、
- 「人間不信」
- 「感情の回避」
- 「自尊心の低さ」
- 「無力感」
- 「人間関係が難しい」
という5つがあげられます。
では、これから「5つの特徴」について解説をしていきます。
人間不信 「いつも最悪のことを予想してしまう」
Rさんは、恋人のことを信じられません。「恋人は私を裏切る」と考えてしまうのです。
恋人に会っている時は楽しいのです。けれど、ひとりでいると不安になってくるのです。
漠然とした不安感を感じながら「恋人は私から立ち去ってしまうはずだ」と考えてしまうのです。
最近は、恋人の態度や言葉が気になって仕方がありません。
「メールの数が少ない。どうして?」
「デートの誘いも減ってきた」
「私の話をきちんと聞いてくれない」
・・・やっぱり恋人は私を裏切るはずだ。
このように恋人への疑いが止まらなくなるのがRさんの悩みなのです。
では、どうしてRさんは恋人のことを信じられないのでしょうか。
それは強い「人間不信」がRさんにはあるからです。
機能不全家族で育った人のなかには人間不信に苦しむ方は多いのです。
では、どうして「人間不信」になってしまったのでしょうか?
機能不全家族では親の反応は予測不能です。
一貫性がありません。約束を平気で破ります。
親は、気まぐれで子どもを叱りつけたり、ほめたりします。
突然、両親の言い争いが始まります。
さっきまで仲の良かった家族が突然、暴言が飛びかうようになります。
そうした親の一貫性のないふるまいによって、安定しない家庭内の雰囲気によって、子どもは人を信じられなくなるのです。
「今度の日曜日は遊びに連れて行ってあげる」と、子どもに親が約束をしたとしましょう。
しかし日曜日の朝、親はお酒を飲んで寝ているのです。
約束を簡単に破る親のせいで、「人は信じられない」という考えを、幼い子どもは心に刻みます。
親を信じられない子どもは、大人になってから他人を信じようとしても難しさを感じるのです。
ちょうど親にされたように「どうせ他人は、私を裏切るはずだ」と、固く信じ込んでいるからです。
人間不信の根本原因は、親を信じられなかった子ども時代にあるのです。
子どものころ、親によって約束が破られ、裏切られてきたならば、大人になってから過剰に相手を警戒してしまうのです。そしてまた、相手の行動を悪く解釈してしまうのです。
「私は友達に嫌われた。友達はもう私に会ってくれない」
「私は恋人に見捨てられる」
・・・といった具合に、いつも最悪のパターンを予想してしまうのです。
つまり人間不信があれば、人間関係は困難になるのです。ですから、ますます「やっぱり私って、人と上手くいかないんだ」と、人のことを信じることが出来なくなるのです。
感情を避ける「そんなふうに感じてはいけない」
機能不全家族で育った人にとって、自分の感情・気持ちを感じるのが難しいものです。
なぜなら自分のことを後回しにして、親や周囲の大人たちに合わせて生きてきたからです。
自分の感情・気持ちよりも、親や周囲の大人たちの考えを優先してきたのです。
まずもって、子どもが感情を出すことを、機能不全家族では歓迎されません。
子どもが泣いていると「いつまでも、めそめそしてるんじゃない」と親が子どもに言ったりします。
あるいは喜んでいると「そんなことくらいで喜ぶんじゃない」と、親は子どもの感情を抑え込んだりします。
そうした親による子どもの感情の抑圧が続くと、感情を感じることができない子どもへと育ってしまうし、自分の感情を避けるようになるのです。
ましてや「感情を出してはいけない」という暗黙のルールがあるのが機能不全家族です。
「感情を出してはいけない」というルールが家の中にあると、感情を出すと叱られたり、とがめられたり、怒られたり、馬鹿にされたりします。
テストで良い点数を取って喜んでいると、「そんな点数で喜ぶな」と、親から叱られるのです。
サッカーの試合でミスをして泣いていると「メソメソするな! もう泣くな!」と、怒られるのです。
自由に感情を表出するたびに親から抑え込まれると、「喜んだり、悲しんではいけないんだ」「自分の感情を感じることは、いけないことだ」と子どもは思い込んでしまいます。
機能不全家族で育った相談者のなかには「自分の感情がわかりません」と、言われる方は少なくありません。
なぜなら大人になっても、子どもの頃に身につけた「感情を感じてはいけない」という考えに縛られているからです。
あなたは、怒りが止まらなくなることはありませんか?
機能不全家族で育った方のなかには、怒りが止まらない方は多いのです。
気持ちを抑えて生きてきた子どもは、大人になると怒りが止まらなくなるのです。
なぜなら今まで親に自分自身の感情を抑圧されて生きてきたことに気づいて、悔しさを強く感じるからです。
「私は親から抑え込まれて生きてきた!」という悔しさが、怒りの感情に火をつけて、怒りがあふれ出すのです。
あなたは、ちょっとした相手の態度や言葉でも「批判された!」「馬鹿にしやがって!」と怒りに火がつきませんか? もしそうであるなら、それは今まで感情を抑え込んできたからです。「自分はこんなにも我慢しているんだ。なのにどうして私は批判され、意見されないといけないんだ!」と憤怒にかられるのです。
あまりにも自分の感情を感じることを避けてきたので、感情の処理の仕方がわからない人もおられます。とりわけ怒りの感情をどうすればいいのか、分からないのです。
怒りの感情をどのように扱えば良いか分からない人にとって、怒りの感情とは周囲にまき散らすか、怒りを感じるのを避けるかの二択しかありません。
怒りを感じるたびに、その怒りを相手のぶつけてしまえば、相手との関係は破綻するでしょう。
感情のままに行動する必要はないのです。感情とは「感じないように避ける」必要もありません。そして、感情をすぐに行動に移す必要もないのです。感情はただ感じて、手放せばいいのです。
怒り以外にも感情には、「喜び」「嬉しさ」といったものがありますよね。しかしそうしたポジティブな感情・気持ちを感じられない人がおられます。
突然、親が怒り狂うなど、喧嘩や暴力が急に起きるのが機能不全家族の特徴です。そういう家庭では、たとえ今は幸せでも、その後には波乱が待っているのです。
そうなれば「喜んでいても、すぐに喧嘩が起きるんだ。だったら喜びを感じない方がマシだ」といった具合に子どもは考えてしまうのです。
誕生日に祝ってもらって嬉しくなっていても、両親が急に不機嫌になって喧嘩が始まります。「嬉しい気持ちにならない方がマシだ」と子どもは思います。
つまり機能不全家族で育つと、喜び・嬉しさを感じないように生きてしまうのです。
喜んではいけない・嬉しくなってもいけないとなると、どうなると思いますか? 「落ち込まないけれど、気分が良いということもない」といった具合に、人生が味気なくなるのです。これが生きづらさの原因となります。
機能不全家族の親たちはたいてい、感情を出すことを禁じられて育ってきました。親もまた、感情を抑圧されて生きてきたのです。
なので親は、自分の子どもが自由に感情を表現するのを見ると耐えられないのです。だから親は、子どもの感情を抑え込むのです。
自尊心の低さ 「私はなんてダメなんだ」
親が子どもを頭ごなしに否定する文化が機能不全家族では存在しています。
「お前はドジだな」「そんなことでは、立派な人間になれないぞ」と、親によって頭ごなしに否定された子どもは「私はダメだ」と思い込んでしまいます。
そうなると大人になっても「自分はなんてダメなんだ」「自分には価値がない」と信じ込んでしまいます。
失敗をするたびに「やっぱり私はダメなんだ」と、さらに信じ込んでしまいます。つまり自尊心が低くなるのです。
自尊心とは「たとえ失敗しても自分は大丈夫だ。なんとかなる」という想いのことを言います。
しかし自尊心が低いと、たとえ誰かに好かれても「そんなはずはない。こんな私を好きになる人はいないはずだ」と、せっかくの好意を避けてしまいます。
「どうせ私は恋愛も結婚もできません。私は何をやっても上手くいきませんから」・・・この言葉に自尊心の低さがうかがえます。
自尊心が低いと仕事でも困難を抱えます。
自分の価値の低さが周囲に知られることが怖いので、がむしゃらに頑張ってしまいます。休みなく働くので、疲弊してしまいます。
営業目標を達成できても「自分は価値がない」と信じ込んでいるので満足できません。
つまり自尊心が低いと心が満たされることが、めったにないのです。
たとえ周囲から高い評価をもらっても、高評価に自分は値しないと強く信じているので、素直に喜べないからです。そして生きづらさに苦しむことになります。
自尊心が低いと、失敗をすることを強く怖れます。失敗すると、低い自尊心がさらに低下するからです。よって「失敗するくらいなら、やめておこう」と考えてしまいます。
やる前からあきらめるので挑戦できないのです。失敗して価値のない自分を再確認するくらいなら、何もやらない方がましだとなるからです。
無力感 「どうせ、うまくいくはずがない」
なんだかいつも被害者のような気持になっていませんか?
「自分は他人の犠牲になっている」
あなたは、そう感じていませんか?
ある人と関係を結ぶと、いつのまにか支配されていませんか?
「支配―被支配」の人間関係を、よく経験しませんか?
相手から無理な要求をされることで支配されそうになっても、相手に働きかけて、自分を守ることはできます。
しかし、なぜか受け身になってしまって相手の要求を飲みこむことで、犠牲者になっている自分に気づくことはありますか?
「私は支配されない。被害者になる必要はない。状況を変えることで被害を未然に防ぐことができる」・・・そんな影響力が自分にもあるのだという事実を受け入れられないのは、無力感のせいです。
機能不全家族で育つと、子どもは無力感を味わってしまいます。
なぜなら暴力や暴言によって、自分の気持ちが無視されて、あるいは欲求が満たされないことで、子どもは人としての存在を否定されるからです。
親によって自分という存在が軽んじられて、否定されて育てられると、自分の力や意思が奪われるのです。これが無力感につながります。
なので大人になった今でも「自分には力がない。どうすることもできない」という感覚を抱えてしまいます。つまり無力感によって意欲が奪われるのです。
無力感は、やがて怒りにつながります。
なぜなら自分がいかに我慢して人の言うことに従って生きてきたか。被害者のままで生きてきたか・・・これに気づくからです。
しかし「怒りを感じるのは怖いことだ」と怒りの感情を避けていたなら、怒りは抑え込まれます。
そうして怒りを抑えると、無力感だけが残されるのです。
無力感によって、人は受け身になります。
ある会社員の方は、劣悪な労働環境で、とても低い賃金にも関わらず頑張って働いておられます。
しかしこのように言われるのです。
「会社がブラックなのは仕方ありません。転職しても、どこの会社も同じでしょうしね」
こうした積極的になれず、受け身になってしまうのは、深い無力感が原因なのです。
「気がつけば人から支配されている」「相手の要求に無理して応じることで疲れている」「いつも人に利用されてしまう」
そのように感じられているならば、その原因に無力感があるかも知れません。
人間関係の困難 「友達、恋人、同僚と上手くいかない」
今まで見てきました「人間不信」「感情の回避」「自尊心の低さ」「無力感」が人間関係を難しくするのです。
人間関係のベースには信頼があります。
相手を信じられない人は、いろんな方法で相手を試します。
相手を怒鳴りつけたら、相手は自分から去っていくだろうか。
無理な要求をしても相手は受け入れてくれるだろうか。
デートを断っても、また誘ってくれるだろうか。あるいは怒るだろうか。
いつも恋人とのデートに遅刻するのは、相手を試す行為かも知れません。
こういう試し行動をすると、やがて相手は嫌になり自分から離れるでしょう。
そうなると「やっぱり。あの人は私を愛してくれないんだ」と思ってしまいます。「人を信じられない」考えが強くなります。
つまり「人は信じられない。自分は愛されないんだ」という信じ込みを証明してしまうのです。
人は信じ込んだことを証明しようとするのです。
こうして人を試してしまうのは、家族のなかに安心感が欠如していて、家のなかに喧嘩や暴言、家族の問題があったからです。
家族では得られなかった愛情を強く求めているのです。
恋人からの愛情を渇望するがゆえに、恋人の愛情を試したくなるのです。「本当に私を愛してくれるのだろうか」と。
恋人に激しく要求したり、高すぎる期待をもってしまうのも愛情を渇望しているからです。
しかし、やがて相手の恋人は疲れるでしょう。
自分の強い欲求や期待に耐えられなくなった恋人は、嫌になって自分から離れていくと、恋愛関係は破綻するでしょう。
こうして「人間不信」は人間関係を破綻に追い込むのです。
「人を人として尊重する」文化がない家の場合、暴力や暴言は当たり前になります。
この当り前さゆえに、恋人からのDVがあっても、その場からすぐに離れて、逃げようとしないのです。
「感情の回避」があると、いかに自分が辛い想いをしているか感じられないでしょう。
よって恋愛が辛くても、その恋愛にしがみついてしまうのです。
自尊心が低いと、自分を守ることが出来なくなります。なので「支配―被支配」といった人間関係で生きづらさを覚えてしまいます。
しかし人間関係で苦しんでいても「無力感」があれば、自分の力で状況や人間関係を変えることが出来るとは思えません。
よって、いつまでも苦しい人間関係を維持してしまうのです。
機能不全家族を克服するために必要なこと
さて、機能不全家族で育ったことが、今のあなたにどんな影響をもたらしているかについてお話してきました。
ここで、あなたに気づいて頂きたいことがあります。
あなたが機能不全家族を生き抜いたことで苦しみを抱えているなら、、、
その苦しみの原因とは、以下のことだったのです。
- 「人間不信」
- 「感情の回避」
- 「自尊心の低さ」
- 「無力感」
- 「人間関係が難しい」
機能不全家族で育ったことで苦しくなっているなら、、、
「人間不信」「感情の回避」「自尊心の低さ」「無力感」「人間関係の困難」を解消しましょう。
しかし、あなたはこんなふうに感じたかも知れません。
「解消すべき問題が5つもあるなんて、気が遠くなるよ」
では、どうすればいいのでしょうか? それは、これらの「問題」に通底する「不安」を解消するのです。
不安を抱えているから「人を信じられない」と、人間不信になるのです。
「感情の回避」をすることで不安を感じるのを避けるのです。
不安だから「私は大丈夫だ」とは思えず「自尊心」は低くなるのです。
不安だから「自分の力では状況を変えることは出来ない」と無力感に悩むのです。
不安が強いから人間関係が困難になるのです。
ですから不安をあなたから切り離すことが、機能不全家族を克服することにつながるのです。
では、あなたが抱える「不安」を解消するための方法を書いたページのリンクを以下に用意しましたので、ぜひお読みください。
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお