言いたいことが言えない。
自分の気持ちを素直に相手に伝えられない。
周囲の顔色をうかがうばかりだ。
学校で、職場で、家庭で、親戚たちに、そして恋愛において「私は言いたいことが言えない」と悩む方は少なくありません。
私も言いたいことが言えないタイプでした。
ここでは当事者として「なぜ言いたいことが言えないのか?」その理由と対処法についてお伝えします。
言いたいことが言えないのは、あなたの性格が弱いからではありません
その場になると、過去の経験から身についた身体反応が先に働き、喉がつまる、緊張する、相手の顔色が気になるなどの状態が起きるため、言葉が出なくなるのです。
つまり必要なのは、無理に強くなることではなく、なぜ身体が黙る方向へ反応するのかを理解し、ゆるめていくことです。
自信がないから言いたいことが言えないのか?
もっと自信があれば、堂々と話せる。 そう感じてもしまうのも無理ありません。
けれど、環境や状況によって、どれだけ自信のある人でも「今日のプレゼンはうまくいかなかった」となるものです。
仕事では自分に自信があるが、恋愛になると恋人の顔色ばかりをうかがってしまって言いたいことが言えない。そんな人は珍しくありません。
自信をつけるというのは場数が必要です。けれど、とっさの一言というのは、場数をふんで訓練を積むことはできにくい。
たくさん場数を経験して自由自在に気持ちを伝えられるのが難しいのが恋愛でしょう。
恋人からの予期しない言葉を伝えられて、胸のあたりがつまって言い返せない経験は誰しもあるはずです。
それは、恋愛というのは相手が変われば状況も変わりますし、なによりも練習する場がないからです。
あるいは突然、友人から無理な要求をされて、断れなかった経験もあるかと思います。
物の貸し借りを急に求められて、ほんとうはやりたくないのに引き受けてしまった。そして、あとで後悔した。 これは、ふだん余り経験していないので、断れなかったのです。
仕事でもそうでしょう。部署が変わることで、言いずらい雰囲気を感じ取ることで、今までのコミュニケーションの自信が失われたケースもあるでしょう。
自信とは、環境や状況によって変動します。
ですから、自信があれば意見表明が上手くいくとは言えないのです。
生まれ育った家庭に関係しているのか
生まれ育った家庭では、緊張が満ちていて安らぎがなかった。
威厳があり無口な父親。過干渉で意見を押し付けてくる母親。
だから、私は自分の意見を言わせてもらえなかった。
そもそも自分の意見がわからない。 あるいは、気持ちを伝えてもいいのだろうかとさえ思う。
このように家庭内のなんらかの理由により、自分の気持ちや意見を伝えられなかったことから、大人になっても言いたいことをぐっとこらえてしまう方はいらっしゃいます。 私もそのひとりです。
幼い頃から、子どもらしくふるまうのは「わがままだ」と、親から言いつけられてきました。
他の子どもみたいに親に「買って欲しい」「遊びたい」と言わせてもらえなかったのです。
私が欲求を伝えようとする前に「我慢しような」と父親に言われました。
今から思えば、私の親も自分の気持ちを素直に話せる人たちではありませんでした。 なので私にも気持ちを伝えることを促すことができなかったのでしょう。
幼い頃から、両親は喧嘩ばかりしてました。 急に不機嫌になる親たち。険悪な雰囲気になる家の中。 私はいつしか親の顔色をうかがうことで、自分の身を守る術を覚えました。これは大人になっても持ち越されました。
そして、私はいろんな場面で、言いたいことが言いにくいことを自覚するのです。
考え方を変えれば自分の気持ちは伝えられるのか?
「私は、自分の意見や気持ちを伝えるべきではない」という思い込みがあるから、言いたいことが言えないんだという見立てがあります。
なので考え方を変えれば、良い方向にいくのではないかと考えられることもできるでしょう。
しかし、考え方を変えるというのは難しい。 なぜなら長年、慣れ親しんできた「こうあるべきだ」という信念は、とても堅いからです。
いくら「今日こそ、あの人に気持ちを伝えよう」と決めても、いざ相手に向き合うと喉がつかえて言えなかった経験はあるかと思います。
本心を伝えるのは、難しいものです。 「相手は、どう感じるだろうか」 「関係が壊れないだろうか」 いろいろ心配しだすと、何も言えなくなる。
結局は、事態は進退せず、おまけに相手の言い分ばかり聞いていた。そんな後悔をしてしまうのはよくあることです。
ちなみに私は学生の頃、落語研究部でした。そして、教員だった時期もあり、また個人事業主としてセミナーを開講していました。
ですから人と比べて、人前で話をする経験は多いですし、自信もある程度はあります。 しかし、自分の気持ちをはっきり伝えるべき時、私は相手の言うことを飲み込んでしまうのです。
そして自分の意見や意志を抑え込んでしまうのです。
私は、人前で話すのは得意です。 しかしながら、相手の主張を飲み込んでばかりで「どうして、あの時、自己主張できなかったんだ」と悔やんだ出来事はたくさんあるのです。
身体反応が、あなたを黙らせていることがあります
ここまで読んで、
「原因はわかった気がする」
「家庭環境や思い込みの影響もあるのだろう」
そう感じたかもしれません。
それは大切な理解です。
けれど同時に、こんな感覚もないでしょうか。
わかっているのに、いざその場になると言えない。
頭では「言った方がいい」とわかっている。
言う内容だって、あとからなら思いつく。
それなのに、その瞬間になると身体が固まる。
喉がつまる。
胸が苦しくなる。
心臓が速くなる。
相手の顔色ばかり気になる。
言葉がどこかへ消えてしまう。
もしそうなら、あなたに起きているのは、意志の弱さだけではありません。
身体が、あなたを守ろうとして反応しているのかもしれません。
たとえば、昔から
- 気持ちを言うと否定された
- 反論すると怒られた
- 空気を乱さないように育った
- 親の機嫌を読むことで身を守ってきた
そんな経験が重なると、身体は学習します。
「本音を言うのは危険かもしれない」
「黙っていた方が安全だ」
すると大人になってからも、似た空気を感じた瞬間に、身体が先にブレーキをかけることがあります。
これは、あなたがおかしいのではありません。
むしろ、これまで生き延びるために身につけた大切な反応だったとも言えます。
ただ、その反応が今の人生では苦しさを生んでいる。
だから必要なのは、自分を責めることではなく、身体が何を守ろうとしているのかを丁寧に知っていくことです。
対処法は「無理に強くなること」だけではありません
言いたいことが言えないと、
「もっと強くならないと」
「メンタルを鍛えないと」
「自信をつけないと」
そう思いやすいものです。
もちろん、それが助けになる場面もあります。
けれど、身体が危険信号を出しているときに、気合いだけで乗り越えようとすると、ますます苦しくなることがあります。
必要なのは、
- 何に反応しているのか
- 身体のどこが緊張するのか
- 本当は何を伝えたかったのか
- その奥にどんな怖さがあるのか
そうしたことを、少しずつ見ていくことです。
すると、ただ我慢するしかなかった状態から、
「今なら少し言える」
「前より飲み込まなくてすんだ」
そんな変化が起こりはじめます。
ひとりで変えようとして、行き詰まっていませんか
ここまで読んで、
「まさに自分のことだ」
「でも、結局どうしたらいいのかわからない」
そう感じている方もいるかもしれません。
それも自然なことです。
なぜなら、この問題は知識だけでは変わりにくいからです。
実際の場面になると、身体反応が先に起きるため、頭で理解していても元に戻ってしまいやすいのです。
言いたいことが言える自分へ戻っていくために
私のセラピーでは、考え方を正すことよりも、その場で固まってしまう身体反応に丁寧に向き合っていきます。
- なぜ怖くなるのか
- なぜ飲み込んでしまうのか
- なぜ自分を出せないのか
その理由を、あなたの身体の感覚から一緒にほどいていきます。
すると、無理に別人になるのではなく、
もともとあなたの中にあった言葉や感情が、少しずつ自然に出てくることがあります。
もし今、同じことで何度も苦しんでいるなら。
ひとりで責め続ける前に、別の方法を知ってみてもいいかもしれません。
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心理セラピスト
わたなべいさお


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