どうして見捨てられ不安は、しつこいの?
「得体の知れないこの不安感。正体が分かりにくい」
「いつも漠然とした生への無気力感がある」
「どことなく常に空しさを感じる」
そう、あなたも思われますか?
見捨てられ不安が、どこから湧き出てくるのか? 分かりにくいものです。
「子どもの頃、具体的な『見捨てられ体験』がなかったのに、どうして?」と、訴える方もおられます。
「親との関係に問題がないのに、どうして?」と、言われる方もおられるほどです。
もちろん「思い当たることがあります」「私と親との関係には、こんなことがありました。それは……」と、語られる方もおられますが、
まず「見捨てられ体験」がわかりにくいのです。
なぜならば「見捨てられ体験」には、さまざまな形態があるからです。
見捨てられ体験には物理的なものだけではなくて、情緒的なものも含まれます。
また子どもと周囲の大人たちの境界線が曖昧な場合でも、それは起こりえます。
詳しくはこのページでまとめましたので、ごらんください。
体験から芽生える感情
「見捨てられ体験」によって、大人になっても持ち越しがちな感情が芽生えます。
子どもは周囲の大人たちからの励ましや、存在そのものを尊重してもらえることが必要です。
それがなんらかの理由でなされない場合があります。
その場合、子どもは「自分は生きるに値しない存在なんだ」といった解釈を自分に与えてしまこともあるでしょう。
大人たちの叱り方しだいで子どもは自己の尊厳を奪われる感じも抱きます。
子どもが、なにか適切でないことをやってしまったとき、親などが、
子どもの行為について注意をするのではなくて、「こんなことも出来ないの? それじゃあ立派な大人になれないよ」と、子どもの存在そのものを否定する場合があります。
このような体験が何度も起きると「私ってダメな子なんだ」と思い込んでしまいます。
また存在そのものを否定するような接し方が重なると、
「上手くやらないと大変なことになる」と、世界に対して恐れを感じてしまうことも考えられます。
これらの想いが適切に処理されずに、そのまま成長していくと自己否定感情や恐怖の感情が芽生えてしまいます。
これら苦痛をともなう感情が「見捨てられ不安」に取り巻いているのです。
なので「いったい、どこから手をつけたらいいの?」と、やっかいに思えるのです。
この自己否定感情と恐怖の感情を感じないようにするために、次の章で取り上げるように問題が複雑化します。
どうして「素顔のわたし」がだせないのだろう?
自己否定感情や恐怖の感情を感じないようにするために、完璧主義や、相手をコントロールしたがるようになります。
完璧にやることで、自己否定感情を覆い隠そうとします。
相手の行動や価値観に口出しすることで、コントロールしようと試みます。
コントロールすることで家庭内や人間関係の「秩序」を思い通りにしたいからです。
どうして「秩序」を保ちたいのでしょうか?
それは波風が立たないようにしたいからです。
ゆえに完璧にしたいのです。相手をコントロールしたいのです。
ここで気づいて頂きたいのですが、
完璧になろうとしたり、波風が立たないように気を使って生きてしまうと、
自分に素直になる、自分らしくなることから遠ざかるのではないでしょうか。
「素顔のわたし」になって自分らしさを生きたい、そんな想いが実現されないと感じられたら、このあたりを見直してみるのもいいでしょう。
自己否定感情が強いと、失敗を過剰に恐れてしまうのでやる気が起きないとか、
自己否定=「自分は価値がない」と思っているので「自分をないがしろ」にしやすくなります。
なので、相手の要求をすぐに飲んでしまいます。
相手の言いなりになることが多いため被害者側にまわってしまいます。
結果として空虚感や無力感、喪失感や不全感(私はこんなはずじゃなかった)といった苦痛が慢性化してしまいます。
そして、これらの苦痛に耐えられなくなると激怒が止まらなくなる―怒ることで苦痛を乗り越えようとします。
怒っているあいだ、苦痛を忘れることができます。
怒りによって相手に自分の苦痛を訴えることもあります。
親密な相手へ怒りをぶつけてしまうケースがあります。
そしてさらに、抑うつ状態になる方もおられます。
ちなみに抑うつとは怒りの「別の顔」です。
また、苦痛・鬱積・深い不安感をまぎらわすために、飲酒や恋愛などに嗜癖する、のめり込むケースもあります。
つまり、見捨てられ体験から芽生える自己否定・恐怖、それらから展開される完璧主義・コントロールしたがる・やる気のなさ・被害者と、それにともなう空虚感・無力感、喪失感・不全感、そして激怒・抑うつ・嗜癖……。
これらの複数の要因が、からみあうので「見捨てられ不安」は、とてもしつこいのです。
複数の要因を、ひとつずつ解決していくのは「対症療法」であって、効果がありません。
「対症療法」では、表面的な部分しかアプローチしません。だらから根本的解決に至りません。
たとえば、「自己肯定感を高めるワーク」をしても、「まだ、何かある気がする」のはそのためではないでしょうか。
ですから対症的アプローチではなくて「不安」の根っこをひっくり返して解消する必要があります。
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