生きづらさをつくっている核心のありかは、ひとそれぞれ違います。
生きづらさをつくりだしている事情も、一人ひとり違います。
ゆえに、すべての人に同じ解決方法を用いるのではうまくいかないのです。
しかしながら現状、生きづらさを解く「鍵」はひとつしかありません。
様々なセラピーやカウンセリングの手法があります。
しかしやっていることは「内面(感情)」へのアプローチがメインです。
もちろん、生きづらさを深める心の持ち方や考え方を手放すことは大切です。
しかし、生きづらさを解消するために、本を読んでも、セミナーやカウンセリング、セラピーを受けても、
- いつも同じ躓きを経験してしまう
- いつも同じような悩みに行き当たる
など、生きづらさが解消できないとしたら、それは、どうしてなのでしょう。
理由は色々あげることが出来るでしょう。
ただ、ひとつ言えることがあります。
それは「個人の心の内面(感情)」ばかりを扱うカウンセリングやセラピーでは限界があるからです。
感情ばかりを扱うカウンセリングやセラピーでは「生きづらさ」を作り出す「あること」が見落とされているのです。
「あること」とは人間関係の定義です。
「人間関係の定義」とは、あえて一言でいえばこのように表現できます。
「目の前の相手をあなたの人生に、どの程度まで招き入れるか?」
人と出会ったからといって、すべての人を同じ程度の深さまで人間関係を切り結ぶことは不可能です。
また、やってはいけないことでしょう。
他者をどの程度まであなたの人生に招き入れるか?……この基準は明確でしょうか?
その基準はあなたの価値観と合致しているでしょうか?
このあたりの基準や識別が曖昧だと、生きづらさを増やしてしまいます。
悩みや考え方は、現実社会における他者との人間関係に強く影響されるからです。
つまり「内面(感情)」とは、私を取り巻く現実である「外部」によって移り変わりやすいのです。
生きづらさについても、周囲との人間関係によって変化します。
「外部」と「私」の関係について、どのように意味付けするか?
これは生きづらさへの取り組みで、忘れてはいけないことです。
もっと具体的にお伝えしましょう。
- 他者との関係で、私にとっての譲れない一線をどこで引くか
- 他者の言葉や行動、動機の意味をどのように識別するか
- 他者の言葉にどこまで同意するか
……などなど、上記の事柄の基準が自分の中になくて、相手側にあった場合、
「深く付き合うほどしんどくなる」
「初めは楽しいけど、だんだんと混乱や葛藤が多くなる」
「軽く扱われることが多い」
など、人間関係から生じる「生きづらさ」を増やしてしまうかもしれません。
これから深い関係になるだろう相手の「どこ」をどう見るかはとても重要です。
その時の気分に流されて相手を引き留めるために「自分にとって大切な価値観」を相手に渡してしまう……これは避けたいものです。
あとで後悔をしてしまうはずだからです。
「つらい関係にのめり込んでしまう」
「どうして私って、いつも軽く扱われてしまうのだろう」
「人間関係で知らぬ間に『支配と被支配』の関係が出来てしまう」
……などといった想いを繰り返しているならば、
「人間関係の定義」を見直す必要があるかと思います。
そして、この定義については、過去のつらい体験や家族関係を掘り起こさなくても身に付けられます。
むしろ、どんなに過去の体験や家族関係をテーマにしたセラピーを受けたとしても、
・目の前の相手をあなたの人生に、どの程度まで招き入れるか?
・相手の「どこ」を見て、それを決めるか?
これらについて基準が曖昧だとか、
あるいは基準(ものさし)が自分の中にない場合、
その時々の気分に流されてしまいます。
もしくは相手の言葉や表情に自身の選択を委ねて(ゆだねて)しまいます。
相手をよく観察しないで、感情にもっていかれてしまえば、後になって痛みや後悔を生むかもしれません。
ですから自分を取り巻く周囲――外部について、どのようの見極め、識別していくか?
この課題について、生きづらさで悩んでいる方と一緒に考えることは、とても大切です。
まとめますと、生きづらさを緩める鍵は2つある、ということです。
2つの鍵とは「外部」と「内面」です。
深い悩みの解消のためには「内面(感情)」ばかりを扱うのは不十分です。
「内面(感情)」に影響を与えている「外部」も見落としてはいけないのです。
そして「内面」「外部」それぞれのアプローチ方法は、まったく別物です。
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