「人は信じられない」・・・このような信頼感の欠如は、いろんな問題をつくります。
そのひとつが恋愛の悩みです。
恋愛関係のベースには信頼があります。ふたりの関係に信頼があればこそ親密な関係が育まれます。
ひるがえって「人を信じることができない」ならば、恋人を失ってしまうのではないか? という恐怖にかられてしまうでしょう。
恋人を失うかもしれない恐れから、恋人にしがみついたり、尽くし過ぎたり、本音が言えなくなったり、嫉妬に苦しんだり。
恋人をコントロールしたり、束縛してしまったり。
不安が爆発して「もっと私のことを見てよ!」と、怒りに火がついてしまう。
あるいは「だったら、こっちから別れてやる!」と急に別れを告げたり。
好きだったあの人との恋なのに、どうして苦しくなるのだろう・・・。
なぜ、イライラしたり怒ることが多いのだろう・・・。
このように、他人への不信感が強いと、恋愛をしてみても不安になることが多くなります。
信頼感に乏しいと、恋人と親密な関係になるにつれ、無意識に恐れを感じてしまうからです。
「人は信じられない」という想いがあれば、「深い関係になればなるほど、自分は深く傷つくだろう」と、感じる。だから恋人に深く踏み込むことが出来なくなります。
他人を信じられないと、本心を恋人に伝えることが難しく思えます。
「好きな人に、本当の自分が出せない」
「自分の気持ちを伝えると、わがままだと思われて、嫌われるかも知れない」
このように悩む方は多いです。それは恋人を信頼できていないからでしょう。
恋人を信頼できていると、現実的であれば要望を相手に伝えることは容易にできるはずです。
しかし人間不信が強いと「恋人に素直に気持ちを伝えると、嫌われてしまうかも」という不安に悩むことになります。
恋人に気持ちを伝えることができないと、お互いが理解し合える関係になりにくい。
「私はあなたのことを理解している。私はあなたから理解されている」
こうした想いに包まれていると、ふたりの間に信頼が育まれていくことでしょう。
苦しい恋愛をしてしまうのは、性格だとか、女性・男性としての魅力がないからとか、運が悪いからではないのです。
素直に気持ちを率直に伝えるスキルがない、あるいは、相手を信頼できるか、できないかの識別のスキルがないだけなのです。
さて、あなたにはこんな疑問がありませんか?
「仕事には自信がある。実績もある。
けど恋愛が上手くいかないのは、どうしてなの?」
それはお仕事では「私は、すべての業務の遂行をコントロールできる」感覚をお持ちだからでしょう。
しかし恋愛では、コントロールは禁物です。
恋愛という文脈において「コントロールする」「コントロールされる」というのは、あってはならないことです。なんとならば恋愛関係は対等でなけれなならないからです。
そうでなければ恋愛は危険なものになります。なぜなら「ふたりの関係」という密室状態において「コントロールする・コントロールされる」という要素があると、そこに権力関係が生まれて、DVや暴力、暴言、束縛が起きてしまうからです。
ですから、どんな人間関係でも「人をコントロールする」「人からコントロールされる」というのは、あってはならないことです。
仕事の「業務プロセス」をコントロールするのはかまわないでしょう。しかし人をコントロールしてはいけない。
恋愛は、仕事ではありません。ですから恋愛にコントロールはあってはならないのです。
仕事では「私は経営者だ」「私は教師だ」「私は上司だ」という役割を担うことができます。
しかし恋愛では「ありのままの私」なのです。
お仕事など、日常生活での役割を脱ぎ捨てられるのが恋愛です。
あなたは「ありのままの私」として恋人に向き合っていますか?
やはりお互いが信頼できていないと、「ありのままの私」として恋はできないでしょう。
やはり信頼が、よき恋愛の鍵となりますよね。
しかし、この信頼関係の構築は難しい。人を好きになるのはたやすいのにね。
ここで考えたいのは「その人を信じられるか? どうか?」です。
ただ無条件に信じれば良いわけではないですからね。
「信じたい」のと「信じられる」は違います。「信じている」のと「信じられる」はまったく違います。
恋人からお金を盗られたり、浮気をされても「けれど、恋人を信じたい」と願うならば、傷つきは深まることになります。
- 信じるとはなんだろう?
- 相手は信じられる人なのか・信じられない人なのか。どうやって識別するのか?
- その人のどこを見て、信じたらいいのだろう?
「信頼」というのは、自分を傷つきから守るために、とっても大切なものです。
とりわけ機能不全家族で生き抜いた方にとって、「信頼」というのは大きな課題です。
機能不全家族では、むしろ親から「人を信じてはいけない」と言われがちだからです。
- 人を信じたらダメだよ
- 世間は敵だらけだよ
- 人はそうやってお前をつけこもうとしている
- 騙されているんじゃないのか
- あの人はおまえを利用しているのではないか
- 人から物をもらってはいけない。借りを作ってはいけないよ
そしてさらに、親たちが不仲で、家庭内に問題がよく起きていたら、「人が信頼しあっている」姿を子どもは知ることが出来ません。
よって「人を信じるとはどういうことか」について、子どもは学べないのです。
むしろ「信頼すること」よりも「恐れること」ことを身につけてしまう。
それゆえに大人になってから、見捨てられることへの不安や、嫌われることへの怖れに思い悩んでしまうのです。
そして、「自分への信頼」を育むことが、難しいのも機能不全家族の特徴です。
- 家庭内に暴力や暴言があって、安心感が家になかった
- 自分の感情や欲求を表現してはいけない雰囲気があった
- 子どもは親から頭ごなしに否定され、怒られる
- 親の期待と要求を満たす役割が子どもにあった
- 「こうなりたい」という子どもの意志が親によって激励されず、逆に「お前は無理だ」と否定される
- 「計画を立てて願望を地道に達成する」といった手ほどきを親から学べない
など、こうしたことが家庭内で存在していたら、子どもは「自分を信じること」が難しくなります。
人として尊重されず、親の期待と要求のために生きるとなれば、子どもは自分を見失ってしまうからです。
親の期待と要求を満たすために子どもは生きるのであれば、人のために尽くすことを覚えても、自主性や主体性、計画性を学ぶことは出来ません。
そうなれば自分自身の力や資質を活かして生きていくスキルを身につけることが出来ません。
とても自分を信じることは、できなくなります。
恋愛で思い悩む方が個人セッションにお越しになられますが、多くの方が親子関係で葛藤をお持ちでした。
自己信頼の回復。そして人と信頼感を育むこと……これらは大きな課題のように思えます。
私自身、機能不全家族で育ち、見捨てられ不安に悩んだ人間のひとりです。
相手に受け入れてもらうには、まずは相手を受け入れなければいけないと、信じていました。
ですから親密な関係になるほど苦しみました。
その苦しみの原因は私にあることを知るまで、私には人間不信がありましたし、自己卑下に悩みました。
お互いを尊重し合える恋愛関係がなければ、結婚も上手くいかないはずですし、困るのは子どもたちでしょう。
子どもができたから、人は親になれるわけではないはずです。
多くのことに気づいて、学ぶことで人は人を育てることが出来ます。
機能不全家族で育ち、恋愛に苦しんだ人間として、私はあなたが望むパートナーとの関係のために力を惜しみません。
心理セラピーはこちらで受け付けております。
わたなべいさお(心理セラピスト/米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト/ナラティヴセラピスト)
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