アダルトチルドレンの生きづらさは、次の5つの要因が背景となっています。
- 親の期待と要求を満たす役割を大人になっても担っている
- 自己否定感
- 自己決定権の喪失
- 非現実的な思いこみ
- 自分のことは他人次第である
つまり自分自身を生きていないがゆえにアダルトチルドレンは生きづらいのです。
人生の主導権を奪われている・・・これが生きづらさの根っこにあるのです。
では、それぞれを詳しくみていきましょう。
親の期待と要求を満たさないといけない
アダルトチルドレンは幼い頃から、親の期待と要求にこたえることに一生懸命でした。
たとえば親の機嫌が悪いと、親を喜ばすのです。
夫婦喧嘩が始まることを怖れて、親のご機嫌を取ることで、未然に喧嘩が起きるのを防ぐのです。
「テストの成績が良くないと、ウチの子でない」という親のために、頑張って勉強しました。
たとえ学校で悲しいことがあっても、親にそれを素直に言えません。家に帰るとお母さんが夫婦仲の悪さを感じながら「悲しいわ」と子どもに伝えるからです。子どもは、お母さんの悲しみを受け止めようとします。お母さんの悲しみを癒す役割を子どもが担わされることで、子どもの悲しみは無視されるのです。
つまり親の期待と欲求を満たす役割を子どもに担わせる家庭であれば、親の期待と要求を満たすことが優先されます。よって子どもの欲求は、後回しにされるのです。
自分のことを後回しにして、親のために生きてきた人は、家の外でも同じようにふるまいます。つまり他人の期待と欲求を満たすために頑張るのです。
自分の欲求を満たすことよりも、他人を優先にする生き方をすることで、アダルトチルドレンは生きづらさに苦しむのです。
自己否定感が強い
アダルトチルドレンが生み出される家庭の特徴として、「子どもは、親の期待と要求を満たす役割を担わされる」「子どもの欲求はいつも後真足にされる」というのがあります。
つまり、自分自身のために生きられないのです。さらに親の期待と要求を満たせなければ「おまえはダメな人間だ」「そんなことぐらい出来なければ、立派な大人になれないぞ」と親に脅かされます。
自分自身を生きることが許されず、なおかつ親という他人の評価で自分の価値が決まる家庭環境で生きると、おのずと自己否定感が強くなるのです。
アダルトチルドレンは幼い頃からめったに親から褒められることはありませんでした。たまに親に喜んでもらえる時があるとしたら、それは親の気持ちを満たした時だけです。
親の気持ち・・・期待と要求を満たすのはハードルが高くて難しい。よって「ああ、自分って褒められないし。けなされてばかりだ」という気持ちを子どもは強めます。
ですからアダルトチルドレンは大人になってから、自己否定感で苦しむのです。
自己決定権が奪われている
アダルトチルドレンが生きた家庭では、自由に個人として生きることがゆるされません。
子どもが何かをやろうとすると「そんなことは許されない」と親に制止されるからです。つまり子どもの頃から、自己決定権が奪われるのです。
大人になってから、自分の好みがわからないアダルトチルドレンは少なくありません。
子どもの頃、親と一緒にセーターを買いに行って「コレがいい」と言うと「ダメ。それはあなたに似合わない」と言われるのです。「こっちの方がいいわ」と結局は、親が選んだ服を着せられるのです。
遊び方・進学先・友達選び・門限・恋愛相手・住む場所・結婚などなど・・・いつも親が先回りして、自分のことのすべてを決めていた。なので「自分は何が好きなのか分からない」と大人になられてから嘆かれる方は少なくありません。
子どもが何かを選んだり、何かをやろうとするたびに「おまえは見っともないね」「まだ早いわよ」「あなたにはムリだ」「できっこないよ」あまつさえ「そんなことをあなたがするとお母さんは恥ずかしいわ。お母さんを悲しませないでね」と言われたりするのです。
こうして子どもの頃から、自己決定権が奪われて生きていくと、大人になってから「自分は何をしたらいいか分からない」と自分のことが分からず悩んでしまうのです。
非現実的な思いこみ
アダルトチルドレンが育った家庭環境とは、暴力や暴言にみちていて、安らぎや安心感に乏しいものでした。
いつ親たちが喧嘩を始めるかわかりません。いまは平穏でも、急転直下、誰かが激高しだすことは日常茶飯でした。
ですから子どもは、家庭環境の急変に過剰に適応することで、自分の身を守る必要がありました。
そのために家庭内に波風が立たないように、気を使って生きるのです。
つまり家庭内に大きな変化が起きることを防いで、平穏を維持することに気を配っていたのがアダルトチルドレンの子ども時代だったのです。
そして大人になっても、過剰に状況に適応するようになります。
できるかぎり周囲の状況が平穏で、波風が立たないように注意ぶかくなります。
そして急な変化や、状況の悪化を過度に避けるようになりました。
自分としては安心したい。けれど現実はトラブルだらけで、人間関係も思い通りにいかなくなると、だんだんと不安感が高まります。
現実と自分の思いがズレるのを、避けたくなります。
よって、次のような非現実的な思いこみをアダルトチルドレンはかかえてしまうのです。
―自分は他人に認められて、愛されないといけない(そうでなければ不安になるから)。
―自分の思い通りに行かないとダメだ(そうでなければ、不安になるから)。
―どんなことでも完璧でパーフェクトでなければいけない(あいまいであればあるほど、不安になるから)。
現実とは、常に変化をしています。
うつろいやすい他人の考えや気持ちによって、たえず人間関係は変化していきます。
自分自身の思い通りに行くことは少ないものです。
しかし、それでは不安を強く感じてしまう。だからこそ「なにがなんでも自分は安定したい。愛されたい。完璧でありたい。思い通りにしたい」・・・けれど、そうした想いは非現実的なのです。現実は自分の思惑通りにはならないから。
ここで、アダルトチルドレンを生きづらくさせる非現実的な思い込みを紹介しましょう。それは次の通りです。
- 「私は誰からも愛されなければならない」
- 「私は何事も完璧でなければならない」
- 「人生は私の思いどおりに進まなくてはならない」
上記のような現実的ではない思い込みをかかえていると、生きづらさは深まるでしょう。「現実」と「自分の考え」が少しでもズレると、不安になるからです。
アダルトルドレンは自分自身がかかえる憂鬱さ、不安感・孤独・悲しみを振り払いたいと考えます。それは仕方がないことです。
しかしながら、そうした心の痛みを感じないようにするために「いつだって私は愛されなければならない」「完璧でなければならない」「自分の思い通りに行くべきだ」と願ってしまえば、変化にみちた現実とのギャップに苦しむことになるので、かえって心の痛みを増幅させます。生きづらさは深まるのです。
つまり非現実的な思いこみをしていることに気づかないと、アダルトチルドレンの生きづらさは止まらないのです。
ここで、ブレイクタイム!
非現実的な思いこみについて、あなたはどう思いましたか?
「誰だって愛されたいに決まっている。思い通りに行きたいし、パーフェクトでありたい。だって失敗をしてみじめな気持ちを味わいたくないから」と思っているのでは?
しかし「現実は思い通りにいかないもの。みんなから愛されることなんてない。パーフェクトなんて稀なことだ」という現実的な前提に立って、じゃあ、どうすれば自分の願望を達成できるだろうか? と戦略を練った方が成功しやすいと思いませんか?
現実をみすえて計画を立てた方が上手くいくし、生きづらさを回避することもできるのです。いかがでしょうか?
自分のことは他人次第で決まる
アダルトチルドレンが育った家庭では、自己決定権は認められず、自己否定感に満ちていて、自分のことよりも親の期待と要求を満たすことが優先されます。
つまり、自分を生きることが許されないまま生きてきた・・・だからアダルトチルドレンは息苦しいのです。
自分のことは他人次第という文化が家の中を支配していると、自由に自分なりに自分のリズムで生きることは「わがままだ」「我慢しろ」「身勝手なことをするな」と、家族から見なされます。そうなると自分を生きることは悪いことのように思わされるし、何が自分なのか分からなくなります。
ということは自分が何かをやっても、その評価は他人が決めることになります。親などの他人に許されないと何もできなくなります。自分が決めるよりも他人に決めてもらうことになります。行動の結果、ある成果を生み出しても、他人からの評価がないと不安になってきます。
つまり自分のことは他人次第になるのです。他人あっての自分なのです。
どこにも自分らしさはありません。自分はこれでいいんだという手ごたえを味わえなくなります。自分の価値は他人が決めるからです。
ただただ他人の顔色を見ながら頑張る人生ですから、生きるのが味気なく思えてきます。
「ああ、なんで私は生きてるのか」「もう頑張るのがしんどくなった」と何をしても報われない空虚感に苦しんでしまうのです。
アダルトチルドレンの生きづらさから抜け出したい方は、ご相談に応じています。
ご相談窓口はこちらです。
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
わたなべいさお
コメント