自己否定感を解消して共依存から抜け出す方法

共依存とは、どういうことでしょうか?

傷つきながら、自分のことを犠牲にしながら、必要以上に人に尽くしたり、恋愛・仕事・家族問題などにのめりこむ状態のことを共依存といいます。

では、どうして傷つきながら人に尽くしてしまうのでしょうか?

なぜ、恋人に浮気をされ、大切にしてもらえていないのに、その恋人にしがみつき別れられないのはどうしてでしょうか?

自分のことを傷つけ、裏切った相手に従ってしまうのは、なぜでしょうか?

それは、自分のことを大切にできないからです。

自分自身を大切にできないのが共依存の特徴のひとつです。

共依存の人は、自己否定感をかかえて生きています。「自分はダメだ」と、たえず自分という存在を否定しているので、自分のことを大切にできないのです。

つまり、共依存の根っこには自己否定感があるのです。

自己否定感がこころに居座っていると、どうしても自己犠牲的に生きてしまう。

たとえば、「こんな自分には可能性がない。新しい恋人を見つけることなんて無理だ。だから、今の恋人に愛されていなくても我慢しよう」と、自己犠牲の道を選んでしまうのです。

このように自己否定感が強いと、自分を大切にして生きられないばかりか、自分の将来を閉ざしてしまう。

つまり「自分は他人次第だ」といった共依存ベースの生き方をしてしまうのは、自己否定感があるからです。

共依存の根っこにある自己否定感

共依存の傾向があると、「自分が悪いんだ」と思いこんでしまいがちです。

つまり共依存の根っこには、自己否定感が居座っているのです。

「自分はなんてダメなんだ。こんな自分に友達はできない。恋愛も無理だ」

・・・このように固く信じてしまう理由のひとつに自己否定感があります。

つまり、自己否定感は、人とのつながりを無くしてしまうのです。

人とのつながりばかりではなく、自己への尊厳も奪ってしまいます。

親や、学校の先生、先輩、友達から邪険に扱われても、それを当然のように受け止めるのです。

他人から傷つけられても、その理由は自分にあると考えます。

なぜなら子どものころから家族に、「どんなに頑張っても、おまえには何も変える力がない」と無力感を植えつけられてきたからです。

こうして自己否定感は、自尊心を奪い、人とのつながりを絶ってしまうのです。

すなわち、共依存のせいで、人は自信を失い、孤独を感じてしまう。

それだからこそ、ひとたび他人から優しくされ、愛されると、その人にしがみつきます。

その人に尽くします。たとえ裏切られても別れることをしません。

もっと愛して欲しいと、愛されることを激しく求めます。だから、ますます相手にしがみつきます。

相手から冷たくされて、あきらかに裏切られているのにも関わらず、その相手と別れることはしません。

ひとりになって孤独を味わうくらいなら辛くても我慢してしまうのです。そして、相手に尽くします。

ほんとうは辛い人間関係を断ち切って、新たな生き方を選びたいのです。しかし自信がないので、辛い現状にとどまってしまうのです。

ですから共依存の苦しみから解放されるには、自己否定感を手放す必要があるのです。

自己否定感と罪悪感との違い

自己否定感とは、どういうものでしょうか?

まずは罪悪感と自己否定感の違いについて理解しましょう。

たとえば友達との待ち合わせを忘れてしまった。その時、人は罪悪感を覚えます。そして友達に謝る必要を感じます。

食べ過ぎて罪悪感をかんじたら、食事をコントロールすることができます。

こうして、自分がやってしまった行為について感じるのが罪悪感です。そして自分の行為を改めるために、罪悪感は役に立つのです。

しかし自己否定感は、罪悪感とは様子が違うのです。

何をしたかという行為ではなく、自分という存在について感じているのが自己否定感と罪悪感の違いなのです。

他人に迷惑をかけてしまった……よくあることですよね。その迷惑をかけたという行為についてではなくて、「そんなことをした自分はなんてダメなんだ」と、自分という存在を否定するのです。これが自己否定感なのです。

仕事でミスをしてしまった。どうしてミスが起きたのかを考えて、ゆっくりでもいいから改善していけばいいでしょう。

しかし自己否定感をかかえていると「改善するために自分ができることは何もない」「どうせ自分なんて、こんなもんだ」と信じてしまいます。

自己否定感をかかえていれば、自分の言動をわびるのではなくて、「自分が悪いんだ」と、自分という存在そのものがいけないのだと感じて、自分がここにいることをわびます。

自分がやった行為が間違いだった。その行為について謝るのは、罪悪感があるからです。

そうではなくて「私そのものが間違いなのだ」と思えば、自己否定感を感じているといえます。

けれど、自己を否定していることに共依存の人は気づけていません。

なぜなら共依存の人にとって、自己否定は当たり前のことになっているからです。

機能不全家族で育つと、「おまえはダメだ」と家族から言われ続けます。

すると、「自分にはなんの価値もないのだ」と信じてしまいます。

「自分は無価値であり、不完全な人間だ」と、当然のように信じ込んで育ってしまうのです。

ですから、たとえ他人から悪口をいわれても、その場で言い返すことができません。

職場で、不当な扱いを受けても、黙ってこらえてしまいます。

そして、ずいぶんと時間が経過してから、やっと気づけるのです。「自分は、傷つけられたのではないか」と。

そこで「自分を大切にして、自分のために生きるには、どうすればいいか?」と、考えるべきなのです。

しかし自己否定感が強いと、そんな目にあったのは自分が悪いんだ、といった具合に過酷に自分のことを責めてしまう。

つまり自己否定感は、心の痛みを強めてしまうのです。

その心の痛みを共依存の人は、さらなる共依存で癒そうとするのです。

心の痛みを、たとえば恋愛で癒そうとすると、恋愛に依存したり、恋人にしがみついたり、束縛したりするのです。

すなわち、心の痛みを恋愛という人間関係で癒そうとするならば、共依存ベースの恋愛がくりかえされることになるのです。

ですから、まずは自己否定を前提とした生き方をしていることに気づくことは、共依存から抜けだすために必要不可欠だといえるのです。

こんな極端な思い込みはありませんか?

自己否定感をもとにして物事を決めると、次のような考えをもってしまいがちです。

  • 人に尽くすのは当たり前だ。
  • 他人の期待と要求のすべてに応じるべきだ。
  • あの時の自分の発言やふるまいを思い出しては「自分は恥ずかしい」と決め込んでしまう。
  • 自分がいけないんだ。
  • 自分には力がなくて、変えられることなど何もない。
  • 悪口や傷つくようなことを言われても、それはすべて自分のせいだ。
  • 悪い結果が出ると「自分が悪いからそうなるんだ」と考える。
  • 自分はなんの値打ちもないと思う。
  • 将来の自分に希望がもてず、素晴らしいものはなんにもないと思う。
  • 自分の人生のすべてはまるっきり失敗だったと思う。

以上の思い込みは、あまりにも極端すぎると感じませんか?

そうです。自己否定感のせいで人は、「白か黒か」みたいな極端な思い込みの癖ができてしまうのです。

極端な思い込みの癖は、人間関係にも影響を与えます。つまり人間関係が共依存ベースになるのです。

すなわち自己否定感が強いと、自分に自信がもてません。自分の将来を自分の手で切り開くことが難しく思えます。だから、「この人しかいない」「この人と別れると私はダメになる」「この人のために自分のすべてを捧げます」「自分は他人次第だ」といった共依存の生き方をしてしまうのです。

自己否定感によって極端な思い込みの癖ができてしまい、やがては共依存ベースの人間関係ができてしまうのです。

自己否定感を解消して共依存から抜け出す

自己否定感を解消するには、2つの道があります。

「内面」「外側」の2つの道です。ここでは「わたし」と「外側」との関係を変化させることで、自己否定感を解消する道筋をお伝えします。

自己否定感を解消するために、信頼のある人間関係を構築していきましょう。

自分自身のこころの状態は、周囲との人間関係からの影響を受けています。

ですから、あなたと友達・家族・職場・恋人との関係を信頼のある関係に育んでいくことはとても重要です。

たとえ自己否定感があったとしても、信頼できる人とのあいだでは、傷つきは浅くすみます。

そうではなくて信頼のできない、あまつさえ自分のことを冷たくあしらい、見せかけの笑顔と愛情で騙そうとする人間関係では、傷つきは深まるでしょう。

対等で信頼のできる人間関係において、人は励まされ、理解され、承認されます。すると自然と「自分は失敗しても大丈夫だ」と思えるのです。むやみに自己を否定する必要がなくなるのです。

そしてさらに「自分は見捨てられることはない」と孤独への不安感も少なるでしょう。励ましと、理解と、承認が人間関係に存在していると、孤独感は小さくなるでしょう。

「私は私でいいんだ」「人に尽くさなくても、役に立たなくても、自分は周囲の人から認められている」と思える人間関係を育てることで、共依存から抜け出す可能性がひらけていくでしょう。

米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト

わたなべいさお

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