子離れしてくれない母親への対処法

「子離れしてくれない母親」には、私もずいぶん手を焼きました。

私の母親は、息子である私が成長して巣立つことを嫌ったのです。

母親は夫婦で生きるよりも、子どもと一緒にいることを選ぶ人でした。

「もう息子さんはいい歳なんだから。好きにさせてあげたら」といった具合に、母親に助言する人もいませんでした。

そしてまた、母親は誰の言うことも聞かない「思いこんだら止まらない」人だったのです。

なので、息子である私の人生への干渉は止まらなかったのです。

それでも「私は子離れする必要がある。けれど出来ない」という自覚が母親自身にあれば良かったのですが、そうした意識を母親は持ち合わせていませんでした。

こうしたケースでは、親子関係はこじれてしまうか、子どもは親からの自律をあきらめるしかないのかしれません。

しかしながら、それでも悩めるあなたのために「子離れしてくれない母親への対処法」をいくつか考えてみましたので、ぜひお読みください。

父親にお願いをしてみる

もしも、お母さんの配偶者(お父さん)がまだお元気で、連絡がすんなり取れる関係であるならば、以下のようにお願いをしてみましょう。

「お父さん。寂しがっているお母さんと仲良くしてあげてね」

我が国では、親と子の結びつきが強く、その反面、夫婦関係がパートナーという関係に戻りにくい傾向があります。

子どもが出来ると、「お父さん」「お母さん」と呼び合う夫婦は少なくありません。
「パパ」「ママ」と呼び合うご夫婦もいらっしゃることでしょう。

しかし、子どもが大人になって巣立ってからも「お父さん」「お母さん」と呼び合う夫婦がほとんどでしょう。
つまり「男性」「女性」の関係に戻らないのです。
いつまでも「お父さん」「お母さん」という役割を担うのです。

そうではなくて、子どもが出来る前の夫婦関係に戻ってくれたら、「これからは夫婦として愉しもう」となる。よって子離れ・親離れが進むことでしょう。

しかしながら、「お母さん」「母親」という役割をやめることができず「親業」という子育てをやめたくない母親だった場合、その母親はいつまでも娘・息子にしがみつくでしょう。

さらには「お父さん」が「お母さん」に優しくしない人だとか、思いやりのない身勝手な人であるならば、どうなるでしょう。

きっと「お母さん」は、毎日を寂しく暮らすかもしれません。寂しさで心がいっぱいのお母さんは、巣立っていった娘・息子がいた空き部屋を見て「これから、どうのように生きればいいのやら」と、思うかもしれません。

そうではなくて「巣立っていった我が子は、ひとりの人間として生きていくのだから、私たちも親業を卒業しましょう。そして夫婦生活を謳歌しましょう」となれば、どうでしょう? 娘・息子は安心して自分の人生を生きることができます。つまり子離れ・親離れが進んでいくことでしょう。

ですから、「お父さん。もっとお母さんに優しくしてあげてね。ふたり仲良くしてね。その方が私は安心なんだから」と父親に言うことで、寂しくって子離れできないお母さんに変化を創り出すことができるかもしれません。

もちろんすぐに結果はでないでしょう。
しかし、夫婦関係に優しさと、いたわりと、思いやりがあれば、ふたりの結びつきは強くなり、子どもへの干渉は減るはずです。

ペットを飼うことをすすめてみる

巣立っていった子どもへの想いをペットに向けてもらうのはどうでしょうか。

実家からいなくなった娘・息子の代わりにペットがなってくれて、ペットに注意が向けられたら、子どもに掛ける電話の回数が減るかもしれません。

あるいは、ペットを飼うことで、ひょっとしたら夫婦関係にも良い変化が訪れるとなお良いでしょう。

母親に助言してくれる人にお願いをする

「つい、子どもに電話、メールをしてしまう」これが子離れできない母親の心境です。

お母さんは息子にメールをするのをやめるべきだと考えているのかもしれない。

娘夫婦に荷物を送りつけるのは、もうよそうと感じているのかもしれません。

しかし「わかちゃいるけど、やめられない」のかもしれません。

そのようなお母さんに「もう、子どもが大人になるのを認めてあげたら?」と、助言してくれる人がいると状況が変わる可能性があります。

親戚やご友人など、母親の周囲の人で「母親が言うことを聞く人物」はいますか?

あなたの親子関係の悩みのために、味方になってくれる人はいますか?

その方を通じて「独り立ちをして頑張っているのを見守ってあげたら?」「親が楽しく暮らしている姿を見せると、子どもは安心するものだよ」と、言ってもらうのです。

ここで懸念されるのが「親があなたを心配して連絡をするのは当たり前だよ。それが親だよ」と、たしなめられることです。

ですから、たとえ過干渉な親への不満があったとしても、それをその方に言わないことです。

「ちょっと聞いてくださいよ。私のお母さんって毎日、電話をしてくるのです。もううんざりなんです」と言うと、「それはやり過ぎだよね。あなたがうんざりするのは当然だよね」と、あなたの心境を理解してくれたらいいでしょう。

しかし、「でもね、親はいつまでも親なのよ。あなたの方こそ親のことを心配してあげたら」と言い返されるケースも考えられます。

ですから「母親が言うことを聞く人」に、どこまで悩みを打ち明けるかを考慮する必要があります。

「そうなんだ。わかったわ。あなたのお母さんにやんわり伝えるわ。そして寂しがっているお母さんをたまにはお茶にでも誘ってあげるわ。だからあなたは安心して仕事に励んでね」と言ってくれる人がいるのが理想です。

そしてまた「お父さん」が、そのような役割を担ってくれるのが一番でしょう。

母も子も「自分らしく」生きることができればいいのに

ここまで読まれていかがでしたでしょうか?

「こんな対策で、上手くいくなら苦労しないよ」と感じられた人もいるかもしれません。

「お父さんと一緒に暮らしたくない」「あなたが頼りなの」「あなたがいなくて、寂しい」と、こぼす母親からの電話やメールを受け止めるのは、とても苦しいものです。

「いつまでも自分は母親の所有物なのか」「ずっと娘として生きなきゃいけないの?」といった具合に、自分を生きられない苦しみを感じる。

だからこそ、自分を生きられない苦しみから抜け出すために「母親」と「子ども」といった関係とは違う、それに代わる形を作っていきたい。

それは、あなたとお母さんが、それぞれ担ってきた役割から離れて、自分らしさを取り戻すことでしょう。

もちろんお母さんが「母親業をやめる」プロセスを歩んでくれるのが一番です。でも、それが難しいんだと感じておられるのかもしれません。

「お母さんが母親業をやめて、ひとりの人間として生きてくれたら。どんなに楽だろう」……このような考えに気づいておられるかもしれません。

同時にあなたは「もっと自分らしく生きていいんだ」という想いを選択の基準にすることができる。

だからこそ、ご自身の将来に確固とした「自分らしく生きる」あり方を身に着けるために今、自分のために生きるとは? という問いの答えを見つけることができます。

その答えは、いろいろあるでしょう。

そのうちのひとつに「私のことは、自分で決める」があるかもしれませんね。

私のことは、自分で決めさせてね」このようにお母さんに、そっと伝えることで、母と子の関係に違いを作ることができるならば、あなたはこれからどんなことができるでしょうか。

心理セラピスト

米国催眠士協会ヒプノセラピスト

わたなべいさお

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